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2013年10月26日 (土)

日本環境感染学会教育委員会主催  医療疫学トレーニングコース

久しぶりの管理人です.

10月26日,大阪大学で,日本環境感染学会教育委員会主催で,医療疫学トレーニングコースが開催されていますので,参加しております.

個人的に,そしておそらく感染症診療的に,さらに感染対策的に,これから数年は病院疫学・生物統計ブームがやってくるのではないかと思っております.

それは何かというと,つまり「本当は基本スキルとして身につけておかないといけないものが,身についていないとみんなが思っていて,それを学ぶ場を渇望している」ということです.

これ以外にも,病院疫学,統計を学ぼう,という気運が盛り上がっているのを感じます.

一方で,感染症以外の分野ではすでにもっと前から盛り上がっているのでは,という気もします.

たぶん,若者が,今まであまり role model のなかった感染症診療や感染対策を数年間やって,はてさて次に何をやろうか,というときに+αのスキルが必要であるというのを実感しているのでしょう.

まあ何はともあれ,疫学・統計の基本的知識というのは,PCスキルや英語スキルと並列で,身につけておいて損しないもの,と感じております.

で,表記のトレーニングコース,というわけです.

このトレーニングコース,土曜日の朝9時から夜17時,日曜日の朝8時30分から夜17時と,決して甘くないプログラムであるのに加え,参加費も2万5千円と決して安くはございません.

でもその価値はあります.講師陣が自らSHEAのトレーニングコースに出席し,そのエッセンスを詰め込んでいる,というだけのことはあります.

基本を押さえた講習と,自分で手を動かす実習.時間も,お金もかかる理由は出席してよく分かります.

参加者のほとんどは看護師さんです.そこで思うのは,こういうことこそ薬剤師さんも,検査技師さんも,医師も知っていて欲しい,ということ.

今回参加させてもらって自分自身がとても勉強になったのは言うまでもありませんが,こういう勉強会は,また地元に持ち帰って多職種を対象にやる価値が十二分にあると感じました.そう,まだまだ未開の地です.ここは.

今の自分のスタンスは感染症診療,感染対策そして微生物検査ですが,それに加えて,病院疫学,統計という視点をもっと多くの方々に伝えたい,知ってもらわねばならない.そう思ったトレーニングコース初日なのでした.そしてこういうことをみんなで共有することで,活動のクォリティはもっと上がるはずなのです.

詳しくはこちらから,ドゾー.
http://www.kankyokansen.org/modules/news/index.php?content_id=71
(今年度は残念ながらすでに受付終了しております)

2013年4月12日 (金)

医療関連感染防止セミナー2013 in 新潟のご案内

新潟県立六日町病院の市川高夫先生のご企画で,手指衛生に特化した(特にWHOのMy Five Moments for Hand Hygiene)勉強会を,5月11日(土曜日)に新潟で開催することになりました.
下記のアドレスから参加申込書がダウンロード可能ですので,多数のご参加をお待ちしております.
http://www.muikamachi-hp.muika.niigata.jp/acad_cdc.html

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2012年7月15日 (日)

新感染症対応訓練

国立国際医療研究センターDCCの忽那です。
昨日、DCCの新感染症病棟にて新感染症対応訓練が行われました。

国立国際医療研究センターは特定感染症指定医療機関に指定されており、当院以外には成田赤十字病院、りんくう総合医療センターが指定されています(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou15/02-02.html)。
新感染症が疑われる患者が発生した場合にはまずはDCCに搬送される可能性が高いというわけです。
日本で輸入ラッサ熱症例が報告されて早20年が経ちますが(ちなみに本邦初のラッサ熱患者の主治医は当院ACCセンター長の岡先生だったそうです)、いつ次の新感染症が日本に持ち込まれてもおかしくないということで、定期的にDCCではトレーニングが行われています。
今回は強毒型新型インフルエンザが発生したと想定して訓練が行われました。

まずはPPEを着用します。

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2ヶ月前にも新人対象の訓練で着用していたので、まあまあスムーズに着れました。
調子に乗って写真を撮ってもらう忽那。
この時点ではまだ余裕があります。

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DCCの氏家無限先生と忽那。
訓練なのに女子高生のようにはしゃいで記念撮影する2人。
数十分後にはこんな余裕はなくなります。

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ちゃんと着用できているか、ICNさんから姑のような厳しいチェックが入ります。
忽那はPPEはちゃんと着れていましたが「うーん、もうちょっとやせたら?」というPPEとは全く関係ない指導を受けました。ありがとうございました。

そしていよいよ新感染症病棟に移って、実際の患者さんへの対応をシミュレーションします。
看護師さんはバイタルを測ったり、身の回りのお手伝いなど。
そして、忽那は点滴確保を行います。

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華麗にルートを確保する忽那。
実はこの模擬患者人形には特殊な粉が塗りたくられていて、処置を終えて部屋を暗くしてライトで照らしてみると・・・体のあちこちに粉が付いていることが明らかに!
なるほど・・・これは分かりやすい。
ちょっとした処置でもけっこう付いています。

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というわけで、実習終了・・・いやーいい汗かいたなあ・・・と思いきや、忽那だけ別室に待機を命じられるという謎の展開に。
いや、もうPPEめっちゃ熱いんで汗だくなんですけど。
早くこれ脱いでビール飲みたいんですけど!!
やばい・・・熱いし息苦しい・・・意識が遠のく・・・母ちゃん親孝行できなくてすまんかった・・・。

とか言ってたら、司令部から突然模擬患者人形が急変したとの連絡が!
呼吸状態が悪化しているらしい。
あまりそんな風には見えないんですが。
まあ空気を読んで迅速に対応を開始する我々。
じゃあまずは酸素を投与しましょう(ついでに忽那にも酸素投与してほしい)。

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リザーバー付マスクでも酸素化が改善せず、バッグバルブマスクで換気・・・無情にもそれでも酸素化は改善しない・・・この展開はまさか・・・?

「先生、挿管しましょう」

嗚呼、やっぱり・・・言うと思った・・・。
いや、つーかこの格好で挿管って無理でしょ・・・。
まあでもそうも言ってられないし・・・。

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モニターと救急カートを持ってきてもらって、挿管の準備。
あーヤバい。食道挿管したら胸郭が膨らまん人形らしいし、マジで入らんかったらどうしよう。

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とか心配してましたが、サクッと挿管。
やるときはやる男だぜオレはみたいな。
などと悦に浸っている間もなく今度は心肺停止・・・えっ、まさかこの格好で心肺蘇生もするんでしょうか・・・。
この状態で胸骨圧迫とかマジで自分が心肺停止になりそうなんですけど・・・。

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というわけで、汗だくになりつつ新感染症対策訓練は終了しました。
確実に1kgは痩せましたね(※ただの脱水です)。
この後、家で飲んだビールは美味かったです・・・。おかげで訓練前よりも太ったと思います。

しかしよく考えたら、確かにPPEを装着して挿管したり心肺蘇生したりしないといけないときが来るかもしれないわけで、いつ発生してもおかしくない新感染症に対して、あらゆる状況を想定して対応できるようにしておくことが大事なのだと改めて感じさせられました。

2012年3月 2日 (金)

電子カルテに抗菌薬アラート機能が付きました

3月まで市立奈良病院の忽那です。

2年前に当院に感染症科ができてから院内のカルバペネム使用量はほぼ半分くらいに減りました(いや、感染症科ができたこととの因果関係は特にないかもしれません・・・)。
緑膿菌に対する感受性も40%だったのが70%くらいまで上がってきています。まだ全然低いですけど。
カルバペネムの使用量が減ったのはいいんですが、抗MRSA薬が処方されている症例の多くが培養結果をみて選択されているのに対し(これはこれで間違った選択の場合も多々あるんですが)、カルバペネムが処方されている症例の中に培養検査が出されずに処方されている症例が散見されるのが問題でした。
というわけで環境感染学会の演題からヒントを得て(パクって)、今月からカルバペネムを処方しようとすると「投与前に血培採取を!」とアラートが出るようになりました。

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いやーこれはウザがられるだろうなあ(それが狙いですが)。
ホントは、このアラート画面を解除するためには「↑↑↓↓←→←→BA」のコマンドを3秒以内に入力しなければいけない、という条件を付けたかったんですが、鬼畜すぎるというご意見があり止めました。
これとは別にキノロンが処方されると出る「結核の除外、ちゃんとできてますか?」という、これまたウザいアラートもあります。

僕からの最後の置き土産です・・・。
市立奈良病院の皆さん、このアラートを見てどうか僕を思い出してください・・・。

2012年2月 5日 (日)

中心静脈カテーテル挿入時のクロルヘキシジン濃度

久々の管理人です.

福岡で開催された環境感染学会に参加してきました.

いくつかお仕事があったのですが,そのうちの一つは初日の朝イチで開催されたシンポジウム2「血管内留置カテーテル関連感染予防のためのCDCガイドラインをめぐり」での「生体消毒関連の諸問題」という発表でした.

現在,同ガイドラインでは,中心静脈カテーテル挿入時の皮膚消毒として,「>0.5% chlorhexidine preparation with alcohol」を推奨しています.でもこの「>0.5%」という濃度には,実は確たる根拠はないんですね.

昨年秋のClinical Infectious Diseasesへのletterでずばりこの根拠について質問した人がいるんですが,その返答は「0.5% chlorhexidine単独製剤と10% povidone iodineの効果は同等だった」というもので,これはchlorhexidine単独であれば確かに「だから0.5%ではダメで>0.5%が良い」と言ってもいいかもしれませんが,ガイドラインでの推奨は「with alcohol」ですから,0.5% chlorhexidine with alcoholと10% povidone iodineを比較してもらわねば困ります.

なに細かいこと言ってるの,と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが,基本的に薬は必要最低限が良いでしょうから,やはり専門家はこだわる必要があります.0.5%と1%では,副反応の発生率が違うかもしれないじゃないですか!

ただ,「アメリカにはそもそもchlorhexidineが2%未満の製品はないんだよ」という意見もあることから,現在も,そして未来も基本的に感染対策関係のstudyは「製品ありき」のものになることは間違いないでしょう.そういう意味では,私たちにできることは,「限られている」し,さらに「ガイドライン」が果たせる役割は,あるいは「ガイドライン」に期待できることは,縮小していくのかもしれません.

ちなみに,日本では,上記ガイドラインの推奨を満たす製品として,ヘキザックAL1%綿棒などがあります.

発表では,そのほかに,クロルヘキシジンドレッシングおよびクロルヘキシジンbathingについても言及しましたが,またの機会に…

2012年1月 1日 (日)

「はざま」を埋める仕事

最近,自分の性格で気づいたことがあります.

それは「nicheが好きだ」ということです.別の言い方をすれば,「人がやってないことをやりたい」ということです.ただしこれは "novelty" が好きだということではなく,「必要性は明確だが,誰もまだ手を出してない」ことが好きだということです.それが,一番自分が「ワクワク」できる仕事です.

2000年当時,感染症はまだまだ "niche" な領域でした.2012年,感染症をやる人はとても増え,奈良医大の感染症センターだけをとってみても,毎年「感染症をやりたい」と言って入局してくださる方々がいらっしゃいます.

これだけ人が増えてくると,感染症領域の中でも "niche" なエリアが出てきます.さて,今の日本で,医師として貢献できる感染症領域の niche は何か?

私は今年も「自分でなければ」できない niche を探して頑張ります(およそ目星はついています).もうすぐ40歳.これから5年~10年がもっとも脂ののった仕事ができる時期だという自覚があります.私がこれから開拓する niche が,またそのうちやりたい人がたくさん出てきて私がまた別の niche を探さないとならないようになれば,成功だと思います.

今年もよろしくお願い申し上げます。

2010年12月22日 (水)

Update-APIC 2011 in Baltimore 2010/12/22)

APIC 2011 (Baltimore) の情報です。
新しいBrochureが出されています。
今年の hot topics として

  • 1. Semi-private rooms and the transmission of MDROs
  • 2. Environmental Cleaning: Assessing and Sustaining Improvement to Prevent HAIs
  • 3. Hand hygiene monitoring technology
  • 4. Epidemiology of MDR GNRs
  • 5. Role of public health in HAI prevention
  • が上げられています。
  • このうち1と2は昨年のAPICでも企業ブースで様々な製品が展示されていました。企業がいま一番力を入れようとしている領域の一つだと思います。
    アブストラクトの〆切は来年1月14日になっています。

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