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2013年3月13日 (水)

ベトナムからの手紙

Img_4548_2
 
忽那@DCCです。
厚労省の一類感染症等研修のお手伝いでベトナムのホーチミン市に来ております。
研修はホーチミン市の端にあるHospital for Tropical Diseases(Benh Vien Nhiet Doi)で行われています。
現在は乾季ですのでデング熱の流行シーズンではありませんが、破傷風、マラリア、リケッチア、手足口病脳炎(EV71)、メリオイドーシス、ペニシリウム症などの症例を見学させていただいております。
 
さて、興味深い症例がありましたのでシェアさせていただきます。
ホーチミン郊外に暮らす60代男性。
2日前からの発熱と意識障害で救急搬送されました。
GCS E3V4M6、強い頭痛の訴えがあり、項部硬直を認めました。
来院時、両下肢に散在する紫斑が観察されました。
腰椎穿刺にて多核球優位の細胞数上昇を認め、髄液および血液培養からはグラム陽性球菌が検出されました。
 
Img_4540
 
病原微生物は何でしょう?
ちなみに髄膜炎菌、肺炎球菌ではありません。
ヒントは食事歴です。
 
What's Your Diagnosis?
 
ちなみに国際医療センターの感染症チーム向けに同じ問題を出題したらボスを含め数名から1分以内に瞬殺されました。
マニアックな環境です。
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すいません、遅くなりましたが正解の発表です。
多くの方々の予想通り、Streptococcus suisによる細菌性髄膜炎でした。
Suis001
Suis002
この写真はベトナムで撮影したものではなく、武蔵野赤十字病院 感染症科 有馬丈洋先生にいただいたものです。
ベトナムの細菌検査室に写真を撮りに行ったのですが、すでに感受性検査まで終わっており廃棄されていました・・・。
写真のように、suisのコロニーはほとんどの場合α溶血を示すそうです。 豚を狩っている、豚を食べた、など豚との接触歴がリスク因子として挙げられています。
タイやベトナムあたりでは、豚を生で食べたり、血液を飲んだり、血液をプリン状にしたものを食べる習慣があるようで、このためタイやベトナムではsuisの症例が多いのではないかと言われております。
suisによる敗血症81例の検討では、93%の症例に皮下出血がみられたとのことです(Streptococcus suis: an emerging zoonotic pathogen.Lancet Infect Dis. 2007 Mar;7(3):201-9.)。
日本でもこれまでに10例弱報告されています。
ベトナムでは細菌性髄膜炎の病原微生物として肺炎球菌よりも多く、40%がsuisとのことでした。
輸入感染症としてのS. suis感染症が今後はみられるようになるのかもしれません。

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