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2013年7月 7日 (日)

普通に喀痰培養検査を依頼しただけでは見落とされる微生物とは?

多くの臨床医は,良い意味でも悪い意味でも「検査」にかなり依存しています.
微生物検査でいえば,臨床医は「患者検体を臨床微生物検査室に提出したら,あとは検査技師さんがいいようにやってくれる」と思っています.アンケートを取ったわけではありませんが,間違いありません(笑).臨床医は「No growth」という結果をみたら,「ああ,微生物は存在しないんだ=無菌なんだ」と思いますし,「Normal flora」とみたら,「ああ,どうでもいい菌しかいないんだ」と思ってしまうのです.そんなものなのです.
そこで,臨床微生物検査室は,「何ができて,何ができないのか」を臨床医にしっかりとアピールする必要があるのです.

さて,喀痰などの呼吸器検体の検査でいえば,「普通に一般細菌検査」を依頼しただけでは見落とされるものとして,

  • 抗酸菌(結核菌や非結核性抗酸菌など)
  • レジオネラ Legionella spp.
  • マイコプラズマ Mycoplasma pneumoniae
  • クラミジア Chlamydophila pneumoniae, Chlamydophila psittaci
  • ウイルス
  • 真菌,特にアスペルギルスなどの糸状菌
  • 嫌気性菌

などがあります.

抗酸菌の検査としては,塗抹検査としてはチール・ニールセン染色,培養検査としては小川培地やMGIT培地などを使用します.レジオネラの染色にはヒメネス染色が用いられ,培養にはBCYE培地が用いられます.マイコプラズマは染色できませんが,培養にはPPLO培地を用います.クラミジアやウイルスはもともと培地上で培養ができませんね.さらに真菌の培養にはサブロー培地を用いますし,嫌気性菌の培養は,嫌気状態でないとできません.

通常レジオネラは尿中抗原検査による検出が一般的ですし,マイコプラズマは抗体検査が一般的ですね.また最近はLAMP法という遺伝子増幅検査が保険収載されて使えるようになりましたので,そういう方法での検出を模索すべきです.

あと,「見落とし」というかどうかは別にして,「少量しか生えなかった肺炎球菌やインフルエンザ桿菌」なども,検査結果には記載されないかもしれません.培地には沢山のコロニーができるので,その中でほんの少ししかないコロニーについては,「無視」されてしまうことがあります.逆に,普段は「Normal flora」と返却されるコアグラーゼ陰性ブドウ球菌が,菌量があまりに多いと「Coagulase Negative Staphylococci 4+」のように返却されるかもしれません.普段見慣れない臨床医は,これに感受性結果までついていようものなら,「すわ!CNS肺炎か!」のようになるわけです.

微生物検査では何ができて,何ができないのか,今一度,臨床医と臨床微生物検査技師は,情報交換をする必要がありますね.

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感染症」カテゴリの記事

コメント

うちはグラム染色所見で培養方法を変えたり、目的菌の記載が無くても培養したりしています。最近は喀痰の色を見ながら培養方法について検討するようになりました。

が、それは一部分だけのフォローであり、見落としなどを含めると寧ろマイナス要素が多いかもしれません。

お互いに患者さんのために尽くしたいですね。

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