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2012年2月 1日 (水)

昨日の続き

皆さまこんばんは。

明朝体にて失礼いたします、阪南市民病院 総合診療科の北和也と申します。

昨日は人生初のブログということで舞い上がり、よくわからないテンションになっていたことを謹んでお詫び申し上げます(特に、すぺぺぺ…のくだりは大変失礼いたしました。お恥ずかしい限りです)。


さて、昨日の続きです。

Brugada症候群についてはBrugada先生らが書いた下記に詳しく記載されております。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK1517/

これによると、誘発因子として“発熱”がしっかり挙げられております。

つまり、ふだん正常心電図でも、発熱などでBrugada型心電図が顕在化し、さらに致死的不整脈を引き起こす可能性があるのです

ですので、『一過性の心電図変化だし、何も起こらなかったからいいんじゃないの?』と気楽に構えることはご法度です。

ここには、Brugada型心電図が記録され、かつ以下の少なくとも1つを認めればBrugada症候群を強く疑うべきであるとの記載がありました。

VFが記録された、②自己停止する多形性心室頻拍、③心原性突然死の家族歴、④coved型心電図の家族歴、⑤電気生理学的検査で誘発される、⑥失神または夜間死戦期呼吸

とくにcovedの場合には、遺伝子診断されていなくても、上記1項目を満たせば診断確定とのことです。

なぜSaddle-back型よりもcoved型の方が?という問いに対しては、日本循環器病学会の『心臓突然死の予知と予防法のガイドライン(2010年改訂版)』に記載があり、『0.2mV以上然発covedST上昇を示す例は、6/年でじると報されてい有症群にはcovedが有意に多く認められることから、saddle-backよりも危いとえられている』とのことです。

また、ここには『我における“ぽっくり病”致するとえられている』と書かれていました。“合致する”は、さすがに言いすぎではないかと思います。

 

Brugada先生は、以下のように要約していました。

<疾患の特徴>

Brugada症候群は心臓の伝導障害(V1-V3ST異常や心室性不整脈のリスクが高い)が特徴的であり、突然死を起こしうる。

Brugada症候群は主に成人で発症するが、生後2日~85歳の間で診断される。

◆突然死の平均年齢は40歳前後である。

◆乳幼児突然死症候群(SIDS)や東南アジアでよくみられる夜間突然死症候群(SUNDS)の原因かもしれない。

◆他の伝導異常として、Ⅰ度房室ブロック、心室内伝導遅延、右脚ブロックおよび洞不全症候群を合併しうる。


<診断・検査>

◆診断は臨床所見に基づく。

8つの遺伝子の変異(SCN5AGPD1LCACNA1CCACNB2SCN1BKCNE3SCN3BHCN4)が、Brugada症候群の原因として知られている。

8つの遺伝子のすべてが分子遺伝子検査にかけることができる。

 

<マネージメント>

◆症状に対する治療:失神や心停止の病歴があればICDを。

◆electrical stormがあればイソプロテレノールを。

◆一次予防にはキニジン(1-2 g daily)。無症候性の場合の治療はcontroversial。

 

<サーベイランス>

Brugada症候群の家族歴を持っているリスクある人は、心電図モニタリングを1-2年毎に一度行う。

 

<避けるべき薬や状況>

◆高熱、麻酔、抗うつ薬、Naチャネル遮断効果のある精神病薬。

 

<リスクのある家族の評価>

心電図を使って特定したり、(もし遺伝子変異のある家族がいるなら)分子遺伝子検査をしたりすると、予防措置につながったり誘発しうる薬の回避につながる。

 

<遺伝子カウンセリング>

Brugada症候群は常染色体優性遺伝である。

Brugada症候群の患者の親は、ほとんどが罹患している。

◆新たな遺伝子変異により発症するケースは1%と推定されている。

Brugada症候群の変異遺伝子は、子の50%に引き継がれる。

◆家族に変異がある場合、リスクの高い妊婦に対して出世前診断が可能である。

 

要約は以上ですが、Brugada型心電図を顕在化するリスク因子として、発熱のほか、コリン作動薬?(Vagotonic agents)、αおよびβ作動薬、三環形抗うつ薬、第一世代抗ヒスタミン薬(dimenhydrinate)、コカインがあり、クラスIC抗不整脈薬(フレカイニドやプロパフェノンなど)、クラスIA抗不整脈薬(プロカインアミドやジソピラミドなど)という記載がありました。

風邪ひいて熱出たら発作、鼻炎で抗ヒスタミン薬飲んだら発作だなんて、世の中生きづらすぎやしませんか。

この方はアトピー性皮膚炎でしたので、かゆいかゆいと近所の病院にかかって、とりあえずてきとーに抗ヒスタミン薬の点滴とかされそうで怖いです。総合感冒薬出されるのも怖いかもしれません。

風邪ひいたらとりあえず熱出る前にアセトアミノフェンを2000mg5くらいで飲むのとか、予防効果的にはどうなんでしょうか。

あまりに注意事項を述べすぎてしまうと世の中八方ふさがりに感じてしまいそうですので、うまく伝えないといけません。


あと、予後などに関しては、日本の循環器病学会のガイドラインに、

◆無症群の予は有症群に比し般に良である

◆心の発症は0.54/年とえられている

◆我の無症候性Brugada型心のみを示す例の予は良とされる

などの記載がありました。

 

今回、僕が担当した患者さんはsaddle-back型(厳密にはType2)、心原性突然死の可能性のある家族歴があり、Brugada症候群の可能性が高いです。

対応としては、

 リスク因子を紙に書いて渡し、注意喚起するとともに常時携帯いただく

 本人に1年毎の心電図フォローを強く勧める

 希望があれば遺伝子検査を行う

 家族のECGスクリーニングを勧める

 誘発テストの存在の紹介と、循環器紹介を行う

といった感じにしようと思います。

 

患者さんやその家族の生活に深く関わることなので、なんとも奥が深いです。

そして、入院時心電図にここまで救われたのは初めてでした(だからといって、全例とらなければならないかというのは、また別の話ですが…)。

というわけで、今回の“ID”は、incidental detection(偶然の発見)ということで、勘弁してください!!

長文にて失礼いたしました!おやすみなさ~い!!

2012年1月31日 (火)

IでもなしにDでもなしに

皆様はじめまして。
阪南市民病院 総合診療科の北和也と申します。
当ブログ管理人よりゲストライターのお誘いがあり、このたび記事を書かせていただくことになりました。
感染症界のスーパーエースであられる管理人、また感染症界の昇り竜であられる忽那大先生、そして超絶スーパーレジデント小林君が織り成す、この緊迫した三つ巴の中に足を踏み入れるのは容易ではありません。
ブログ内はすでに聖域と化し、強力な結界が張られているせいか、記事を書いているそばから気を失ってしまいそうです(当直明けの寝不足との鑑別は至極困難)。

さて、何を書けばよいか見当がつきません。
ブログのタイトルが“ID CONFERENCE”になってるので、『感染症のことを書けばよいのですね?』と管理人にうかがいましたら、『別に感染症じゃなくても、頭文字にに“I”とか“D”とかが付いてたらいいよ』との温かいお言葉。
『僕に期待することは何ですか?』とうかがいましたら、『マンガのこととか書いてくれたらいい』との愛溢れる癒しのお言葉。
『荒れませんか?』とうかがいましたら、『もう荒れてるよ』との非常に心強いお言葉。
そんな管理人の期待に応えるべく、とりあえず医療系っぽい話をほんと少しだけ書いてから今日は寝ようと思います。

先週の話です。
40歳くらいの男性で市中肺炎の症例なんですが、さて、痰でも染めに行くかと思ってふと入院時心電図をチラ見したところ・・・
Img_2856
V1-V3で明らかにST上昇・・・!!!
うほ!!ま、まさか心筋梗塞!!?た、痰など染めている場合ではない!!!
し、しかし、症状はあまりにatypical、既往はアトピー性皮膚炎のみで、その他リスクファクターなど特になしっっ!!!!

…い、否!!!!ここはもっと慎重であるべき!!!!!絶対違うとは思いつつも、やはり最も危ないものは否定しておきたい!!!!

うん、やはり経胸壁心エコーでも明らかなasynergyなし…。
よくよくみると、rsR'パターン(右脚ブロックパターン)かつV1-V3のST上昇はsaddle-back型…。
こ、これはもしや、悪名高きBrugada型心電図では!?
恐る恐る聞きました。
Question1:失神したことはありますか?
Answer:ありません。
少しほっとする。

Q2:心電図異常を言われたことはありますか?
A:ありません。
Q3:ご家族で突然死した方っておられます?
A:数年前、兄が痙攣で救急車に運ばれて、ICUに入って原因不明の心不全で亡くなりました。
……は、はぅぅっっっ!!!!ほ、ほんものやんけーーすぺぺぺっっっ!!!!!!!

結局、入院中は特に問題なく経過し、数日の入院で無事退院いたしました。
興味深いことに、翌日の心電図は、
Img_2862
とST上昇がだいぶ緩やかになっており、そのまた1週間後には、
Img_2865
ただの早期再分極?って感じになっていました。
い、いったい何がおこっているというのだ…。

ということで、患者さんの安全を守るべく、Brugada症候群について勉強しました
 
しかし、気付けばAM2時を回ったので、続きは明日以降にしようと思います。
申し訳ありません。突然ですが、失礼いたします。すぺぺぺぺっっっ!!!!

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