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2012年10月17日 (水)

何でも染めてみようシリーズ①ヨーグルト&カルピス

国立国際医療研究センター国際感染症センターの忽那です。
先日小林が「国立感染症センター忽那先生」というメールを送ってきましたが、そうではなく国立国際医療研究センターという病院の、国際感染症センターという部署に所属しているという意味です。
どうぞよろしくお願いいたします。

私は腸管免疫の維持のため毎朝ヨーグルトを食べているんですが、今朝ふと思いました。
「ヨーグルトってやたら乳酸菌のことアピ−ルしてるけど、ホントに入ってんのかな・・・。つーか、ヨーグルトをグラム染色したら乳酸菌見れるんじゃない?」
さっそく昼食後にもヨーグルトを買って、染めてみることにしました(飽くまで昼休みの短時間です。忽那は日々患者さんのために労力を惜しまず不眠不休で働いています。はい)
ヨーグルトを買ってきて染めようとしていると、ちょうどそこにカルピスをゴクゴクのむレジデントのU村先生が。

P1200545

U村「いやー、カルピスうまいっす。マジ天国っす」

くつな「よし、U村。ちょうどいいからそのカルピスをちょっとよこせ」
U村「えっ・・・ちょっ・・・」
というわけで、ヨーグルトとカルピスを染めてみることに。
P1200534
まずはヨーグルトから染めてみることにしました。
スライドに少量のヨーグルトを垂らし塗抹します。
P1200535
そしてグラム染色。
P1200559
商品名が書いていますが気にしないでください。
さて、顕微鏡で覗いてみると・・・。
P1200540
おお・・・おおおおおおおおおおお!
いてはる!
乳酸菌がいてはります!
P1200541
ん・・・陽性桿菌と・・・陽性球菌?
乳酸菌ってラクトバチルスだから陽性桿菌なのでは?
なんで陽性球菌が・・・まさかヨーグルトの中には我々には知らされていない謎の細菌が仕込まれているのでは・・・。
・・・と思っていたんですが、乳酸菌って「炭水化物を乳酸に変えることのできる菌」の総称だそうで、Lactococcus属などのグラム陽性球菌がいるそうです。
いやー、勉強になりました。

P1200549

U村「うおー、いるっす、いるっすね」

乳酸菌を直視して感動するU村。
そう、これはレジデントへのプロバイオティクスに関する感染症レクチャーの一環なのであった(すいません、今思いつきました)。

次は、カルピス。
スライドにちょろっと一滴垂らして染めてみましたが、ちょっと良くわかりにくい。
これは遠心分離する必要があるのではなかろうか。

P1200550

というわけで、カルピスを遠心分離機を用いて1500回転×5分間で遠心分離しました。
写真じゃ分かりにくいのですが、沈殿物ができています。

P1200556

それをグラム染色したところ。
さて、これも顕微鏡で見てみます。

Photo
いる!
遠心したせいか染色性が異なりますが、おそらくこれも乳酸菌!
やはりカルピスにも乳酸菌がいた!

カラダにピース!!

P1200549_2

U村「ああ・・・僕が飲むはずだったカルピスが・・・でもすげえっす」
カルピスへの愛しさと切なさと心強さとを感じつつも乳酸菌に感動するU村。

兎にも角にも、皆さまの摂取されているヨーグルトとカルピスはちゃんと乳酸菌が入っていることがこれで確認できました。
どうぞ安心して食べてください。


※このあとヨーグルトとカルピスはU村がおいしくいただきました。

2012年10月14日 (日)

百日咳のアウトブレイク 〜米国・ワシントン州

忽那@DCCです。
あの、どうでもいいことなんですけども、国立感染症研究所のIASRの記事を書かせていただきました。
国際医療センターと国立感染症研究所が隣り同士ということもあって、週に1回DCCから国立感染症研究所の感染症情報センターのカンファレンスにお邪魔させていただいてまして、MMWR、HPA、Eurosurveillanceなどの抄読会にも加えていただいております。
そのご縁もあって、私の記事をIASRに掲載していただくことになりました。
ワシントンの百日咳の記事です。

http://www.nih.go.jp/niid/ja/pertussis-m/pertussis-iasrf/2624-fr3912.html

2011年中頃から、ワシントン州で百日咳の症例増加が報告されているのを受けて、ワシントン州公衆衛生局は2012年4月3日に百日咳流行宣言を出した。

ワシントン州では6月16日の時点で2012年に入ってからすでに百日咳の症例が2,520例(10万人当たり37.5人)に達している。これは2011年の同時期の13倍の数であり、過去最高の流行を記録した1942年に匹敵する。

2,520例を年齢別にみると、1歳未満、10歳、13歳、14歳の罹患率が高かった。1歳未満の155例のうち、34例(22%)が入院し、このうち14例が生後2カ月未満であった。ワシントン州と比較すると罹患率は低いものの、米国全体でも百日咳の症例は1歳未満、10歳、13歳、14歳で増加傾向にある。

2,520例のうち確定例が2,069例(83%が検査診断、17%が疫学的診断)、疑い例が451例であった。検査診断の95%はPCRのみ、2.4%は培養検査のみ、2.9%はPCRと培養検査であった。病原菌の確定のためにPCRが行われBordetella  DNAが検出された193検体のうち、175検体(91%)がB. pertussis 、11検体がB. parapertussis 、2検体がB. holmesii 、5検体が分類不能であった。

百日咳患者のワクチンの接種状況については、3カ月~19歳の患者2,006例のうち1,829例(91.2%)のワクチン接種歴が入手できた。3カ月~10歳の患者1,000例のうち758例(75.8%)が小児期のジフテリア・破傷風・無細胞型百日咳ワクチン(DTaP)のシリーズを完了していた。また思春期のジフテリア・破傷風・百日咳ワクチン(Tdap)接種率は11~12歳で43.1%、13~19歳で77.2%であった。

百日咳の流行に対し、ワシントン州の保健課は対策チームを設立し、医療従事者に百日咳の臨床像、検査法、治療と予防(ワクチンや予防内服)について啓発を行った。市民への啓発には百日咳の症状とワクチンの推奨に重きが置かれた。

百日咳は米国では1970年以降徐々に増加傾向にあり、2010年には27,550例が報告されている。2012年はこれまでのところ過去5年間の同時期までの症例数を凌ぐ。ワシントン州での13~14歳の百日咳の発症率の高さは米国全体の傾向を反映しており、DTaPによる免疫原性が早期に減弱することを示唆している。DTaPは接種後2年間は高い有効性を持つが、米国の疫学データからはジフテリア・破傷風・全菌体百日咳ワクチン(DTwP)に比べて効果の減弱が早いことが強く示唆される。しかしながら、ワクチン接種は百日咳の流行を阻止するための最も効果のある方策であり、妊婦や新生児に接する者へのワクチン接種は、まだワクチン接種を受けられない新生児を守るために推奨される。新生児の百日咳を防ぐために今後もDTaPとTdapの接種を進めていくことが重要である。

(CDC, MMWR, 61,  No.28,  517-522,  2012)

どこにも忽那の文字はありませんが、はい、間違いなく忽那の記事です。
拙い英訳の端々に忽那を感じていただければ幸いです。
IASRは回帰熱に続いて2つ目です。
さらにありがたいことに現在3つ目となる症例報告を現在執筆しているところです。
これに関しては自分の経験した症例の報告ですので、またこちらでもご報告させていただきたいと思います。

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