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2012年10月13日 (土)

チゲサイクリン(tigecycline)その1

忽那です。
そろそろチゲサイクリンTigecyclineが登場するようですので、それまでに勉強しておきたいと思います。
ボスの本棚にKucersがあったので、ちょっと拝借して読んでみました。
数回に渡ってぼちぼちまとめていきます。

●チゲサイクリン tigecyclineとは
・チゲサイクリンはグリシルサイクリン系抗菌薬の中で最初に臨床応用された抗菌薬であり、ミノサイクリンの半合成誘導体である。
・テトラサイクリン環の構造変化によってテトラサイクリン特異的effluxポンプに抵抗性となり、リボソームの保護を減弱させる。
・他のテトラサイクリン系と同様に、チゲサイクリンは細菌の30Sリボソームサブユニットに結合することで細菌のタンパク合成を阻害する。
・現時点では経静脈的にのみ使用できる。
・チゲサイクリンはテトラサイクリン系に似たスペクトラムを持つが、グラム陽性菌(MRSA、VRE、PRSP)やグラム陰性菌(ESBL産生腸内細菌科)などにも活性を持つ。さらに、いくつかの嫌気性菌やrapid growing mycobacteriumにも活性を持つ。
・緑膿菌には活性がない。
・また、腸内細菌科の中でもProteus属、Providencia属、Morganella属には活性が落ちる。

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図1 チゲ鍋

●抗菌活性
・チゲサイクリンは酸素によって不活化されるため、感受性検査は開封したばかりの培地(12時間以内)か、酸素を減らす試薬であるOxyraseを培地に添加して行うべきである。
・チゲサイクリンの活性は培地の溶存酸素に依存し、古い培地を用いた場合のMICは2~3倍高くなる。近年までこの事実は知られていなかったため、2005年以前に発表された研究ではMICが本来よりも高く報告されているかもしれない。
・チゲサイクリンのEテストは正確で再現性のある結果が得られる。しかし、特にAcinetobacter属では培地中のマンガンの量に影響されるため、マンガンの含有量の多い培地ではMICが高く表現されることがある。
・チゲサイクリンと他の抗菌薬との併用による拮抗作用はない。


●グラム陽性菌

・黄色ブドウ球菌に活性を持つ。さらにCA-MRSA(市中型MRSA)に対して良好な活性があり、全ての株でMIC50≦0.5μg/mlであったと報告されている。Mendesらは、98.2%のCA-MRSAがチゲサイクリンに感受性であり、このうち70.8%はSCCmec IVを持ち、94.7%がPLV産生株であった。
・in vitroでのバイオフィルムモデルにおける表皮ブドウ球菌では1~8μg/mlであり、自由増殖細胞では0.12~32μg/ml以上であった。これはバンコマイシンやダプトマイシンに比べ4倍以上良い成績であった。
・腸球菌に対してもチゲサイクリンはVanA、VanB、VanC遺伝子の有無に関係なく活性を持つ。しかし、韓国で分離された4株のVREで、チゲサイクリンのMICも12.5μg/ml以上に上昇していたという報告もある。
・in vitroでは、β溶血性連鎖球菌を含むStrepcococcus属はチゲサイクリンに対し感受性が良好であり、MIC50とMIC90ともに0.12μg/ml以下であったと報告されている。第Ⅲ相試験でのStreptococcus属に対するMICはMIC50 0.06μg/ml, MIC90 0.12-0.25μg/mlであった。またViridans Streptococcusにも活性が良好であり、全体のMIC90は0.06μg/ml以下で、最も高いMICは0.25μg/mlであったと報告されている。
・Listeria monocytogenesは、0.5μg/mlで発育が阻害され、MIC90は0.125μg/mlであった。
・in vitroではCorynebabterium属にも良好な活性を有する。

不定期に続きます。

参考文献)
Kucers' The Use of Antibiotics Sixth Edition: A Clinical Review of Antibacterial, Antifungal and Antiviral Drugs

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