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2012年8月 1日 (水)

「臨床感染症ブックレット 7巻  入院患者における重症・難治性感染症を診る」

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臨床感染症ブックレット 7巻
入院患者における重症・難治性感染症を診る

こんにちは,管理人です.
今日は,本の紹介をさせてください.

文光堂の「臨床感染症ブックレット」シリーズは,埼玉医科大学の前崎繁文先生と国立国際医療研究センターの大曲貴夫先生が編集委員をされているシリーズものですが,今回その第7巻「入院患者における重症・難治性感染症を診る」のゲスト編集を務めさせていただきました.

その名前の通り,主な対象は「入院患者における重症・難治性感染症」でありまして,このような切り口での類書は他にないものと自負しております.

総論では,入院患者の感染症の重症化・難治化の理由,基本的アプローチ,抗微生物薬の使い方,補助療法,そしてERでの重症感染症にも触れています.

各論では,入院患者の感染症で代表的な院内肺炎やカテーテル血流感染症などを中心に種々の感染症について解説してもらっています.

今回の企画の目玉は執筆者です.いわゆる「IDATEN世代の感染症医」だけでなく,外科医,泌尿器科医,集中治療医,呼吸器科医など,「感染症をsubspecialityとする,非感染症専門医」に執筆をお願いしています(もちろん多くの方は感染症専門医はお持ちですが).

その意義は,私の書いた「オーバービュー」に記す通りです.新しい意見と新しい意見が交わることで,新しい価値と意義が見いだされるはずです.

是非ご一読ください.皆さんきっとそれぞれの意見をお持ちになると思います.そこからまた「臨床現場の総力戦」における新しい展開が見えてくると思います.

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感染症の類書が増えてきた昨今,いわゆる「臨床感染症の原則」はある程度浸透してきているのを実感している.一方,臨床感染症でも少し踏み込んだ領域,専門的な領域に関してはまだまだ日本語の書物は乏しいのが現状である.

本書で扱った「入院患者の重症・難治性感染症」は,このような専門的な領域の知識が必要となる,いわゆる「総合力」で勝負しなければならない領域である.ここでは感染症科医は歯車の一つにすぎず,いわゆる主科・主治医の指揮のもと,各外科医,各内科医,放射線科医など様々な診療科が有機的に連携して診療にあたらなければならない.

本書の最大の特徴は,私が普段から直接存じ上げている「感染症を理解する各診療科のスペシャリスト」に執筆をお願いした点にあり,その意味では本書はまさに普段の臨床現場の総力戦を体現しているといえる.

日頃,感染症科医は「ドレナージが必要ですね」「外科的処置がなければ治りませんよ」といとも簡単に言うが,実際どのようなドレナージが必要なのか,どのような外科的処置が必要なのかはほとんど理解しておらず,各診療科に丸投げしているのではないだろうか.しかし本書では例えば腹腔内膿瘍に対するドレナージについて,超音波ガイド下とCTガイド下の使い分けを消化器外科医が分かりやすく解説してくれている.あるいは骨髄炎の患者に対して機能予後を考慮してデブリドマンをどう行っていくかについて整形外科医が明瞭に解説してくれている.

そのほかにも呼吸器感染症の胸部画像の読み方に関する呼吸器内科医の解説,腹膜透析患者の感染症のアプローチに関する腎臓内科医の解説,ステロイドやγグロブリンなどの補助的治療に関する集中治療医の解説,など,各臓器スペシャリストの解説は,まさに目から鱗が落ちる思いで読むことができる.同時に,いかに自分が勉強不足であるか,また普段いかに偏った物の見方をしていたか,反省することばかりである.一人の患者を診療するにあたっては,様々な視点からの評価が必要であるし,それぞれの価値観は異なって当たり前である.お互いがそれぞれの価値観を尊重し,歩み寄ってその接点を探す努力が必要である.

 本書を読了した全ての臨床医が翌日から新しい視点から患者を診ることができるようになれば,望外の喜びであるし,このような各スペシャリストの叡智を集結した感染症診療が当たり前のように行われることを願う.

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