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2012年4月22日 (日)

マラリア・トレーニングコース@NCGM

国立国際医療研究センター感染症内科/国際疾病センターの忽那です。

忽那は現在感染症内科と国際疾病センター(DCC)に所属しているのですが、DCCと言えば何と言ってもマラリアであります。
DCCでは年間20例前後のマラリア症例を診療しているということで、マラリア診療はDCCと切っても切り離せないものです。
しかし、忽那はマラリアについては「マラリア治療薬のアルテミシニンの植物名はクソニンジンである」という、かなりどうでもいいことしか知らないという体たらくであり、マラリアが来たらどうしようと内心ビビっていたのですが、ちょうどそこにマラリアトレーニングコースのお話をいただき、渡りに船ということで先日参加してまいりました。

マラリアのトレーニングコースは、国際医療研究センター研究所の熱帯医学・マラリア研究部 部長の狩野繁之先生に丸一日マラリアについて叩きこんでいただけるという夢のようなコースです。
狩野先生といえば、日本熱帯医学会の前会長であり、WHOのInternational travel and healthのマラリアの項を監修しているという、日本の、いや世界の、むしろ宇宙のマラリア第一人者であります。
日本広しと言えどもそのようなマラリアの権威にみっちりと丸一日教えていただけるのは・・・そう、国立国際医療研究センターだけ!(さりげなく宣伝)

Img_2051

実を言うと元々は厚労省医務官の先生のためのコースであり、我々がそこにお邪魔させていただいたというわけです。
受講者は医務官の先生、忽那、そして私の同僚の谷崎先生の3人であり、こんな感じでまったりとした感じでレクチャーが始まりました。
狩野先生のマラリアレクチャーはまさに黄金体験でありまして、脾摘により感染44年後に発症した四日熱マラリアの症例、ヒトの進化に合わせた三日熱・四日熱・卵形マラリアの進化、日本で初めてアルテミシニンを使用したマラリア症例など、非常に興味深いお話をたくさん聞くことができました。

そして午後からは待ちに待った鏡検実習です。
まずは、寄生率の計算についての実習です。

Falci

このようにキレイにリング状に見えるのが熱帯熱マラリアです。

P1200104

網目が切れちゃってますが、この網目の中の赤血球のうち、熱帯熱マラリアに感染している赤血球の比率を計算します。
寄生率30%という、かなりちゃばい検体でした。

次は、実際に自分の血液をギムザ染色してみようのコーナーです。

Img_2054

狩野先生自ら、谷崎先生の採血を行います。
当ブログ管理人からのツッコミが入りそうなので弁明しておきますが、このあとちゃんと手袋をつけて採血していますよ。
この血液をプレパラにシュシュッと引いてギムザ染色を行います。

P1200120
P1200124

ギムザ染色を15分ほど放置するので、待っている間にマラリア迅速検査キットを使ってみようということに。
先ほど採血した谷崎先生の血液を使って迅速検査を行いました。

P1200136

まあ当然陰性に出るよな・・・と思ってたら・・・

P1200144


陽性キターーーーーーー!

えっ、まさかこれって・・・熱帯熱マラリア?
確かBinaxNOW Malariaは特異度99%を誇る検査キットだったはず・・・ということは谷崎先生は熱帯熱マラリアでほぼ間違いないのか?

「いやいやいやいや、僕海外渡航歴ないですし。症状も全然ないし。そもそも検査前確率が低い状況でこのような検査を行なっても陽性的中率は極めて低いわけで・・・」

急に多弁になる谷崎先生。
まさかコレは脳マラリアの症状なのだろうか・・・。
とすると治療を急がなければヤバい・・・。

私自身、谷崎先生が熱帯熱マラリアであるはずはないと思ってはいたものの、ちょっと不安になってきたのも事実。
もしこれでギムザ染色でもマラリア原虫が見えたりしたら・・・。
ちょうどギムザ染色が完了したので、恐る恐る鏡検してみると・・・。

Img15

リングフォームキターーーーーーー!

こ、これはやはり熱帯熱マラリア・・・?

「これは・・・アーチファクト・・・アーチファクトに違いない。これは単にゴミが見えてるだけなんだ・・・むしろ人類全てがゴミなんだ・・・おまえら全員クソニンジンなんだ・・・」

ガタガタと手が振るえながら発言がおかしくなってきた谷崎先生。
やはり脳マラリアの状態ということで間違いなさそうです。

「うわああああああああああ!助けてくれええええええ!」

谷崎先生が正気を失いかけたそのとき・・・

狩野先生「フッフッフ・・・騙されたな・・・」

えっ・・・?
呆然とする一同。

狩野先生「さっき皆が一心不乱に寄生率をカウントしてるときに谷崎先生の血液に培養したマラリア原虫をこっそり混ぜておいたのだ・・・」

な、なにいいいいいいいいいいいい!
やられた・・・さすがマラリアの権威、マラリアジョークまで超一流です。

というわけで、正気を取り戻した谷崎先生と共に、他のマラリアのスライドも見せていただきました。

Img22
■三日熱マラリア原虫

Img25
■卵形マラリア原虫

最後にちょっとためになることを書いておきますが、狩野先生によりますとマラリアの鏡検で最も大事なのは「感染赤血球が大きくなっているか否か」だそうです。
なぜなら大きくなっている場合(三日熱・卵形)は、ヒプノゾイトを作るのでプリマキンで治療が必要になる一方、大きくなっていない場合(熱帯熱・四日熱)はプリマキンは不要であり通常の治療でOK、というように治療の選択が変わってくるからだそうです。
いやー、勉強になりました。

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