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2011年12月31日 (土)

医学書・オブ・ザ・イヤー

市立奈良病院の忽那です。
大晦日の夜、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
忽那は市立奈良病院で年越し当直をしております。
当院は学年順に年末年始の当直日を決めていくという容赦無い年功序列システムなので、2番目に若い内科医の忽那は年越し当直になってしまいました。
妻と子供たちはとっくに実家に帰省しています。

さて、気を取り直しまして、今年も医学書・オブ・ザ・イヤーの季節がやってまいりました。
このアワードは2011年に発表された主に感染症に関連する医学書を対象に、忽那がお世話になった具合に基づいて独断で発表するものです。
「あの本が入ってないのはおかしい!」というご意見などもあるかもしれませんが、単にお金が無くて買えていないだけかもしれませんので、ぜひ良い本がありましたら教えていただければ幸いです。
それでは、大賞の発表の前に各部門の受賞作を発表していきたいと思います。


■2冊買っちゃった部門
クリニカル・リーズニング・ラーニング

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Amazonでだいぶ前に注文したのを完全に忘れて再注文して同じ日に2冊届きました。

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ちなみに洋書も持っているので同じ本が3冊あるのです。
妻にバレたら大変なことになりそうです。
しかし内容は相当面白いですコレは。2冊買うだけの価値はあります!!
NEJMのClinical Problem Solvingが好きな方は楽しめると思います。


■高くて買えなかった部門
Kucer's the Use of Antibiotics: A Clinical Review of Antibacterial, Antifungal Antiparasitic and Antiviral Drugs

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抗菌薬に関する成書なんですが・・・これ5万くらいするんすよね。
マジぱねえっす。
定期的に価格をチェックしてるんですが、この円高の状況でも5万はするっていう。
妻が実家に帰省している間にこっそり買ってしまおうとも思ったんですが、後から怒られることを思うとなかなか一歩を踏み出せないでいます。
とりあえず代わりにCunha先生のAntibiotic Essentials 2011を買いました(こちらは2000円くらいです)。
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■臨床微生物部門
臨床微生物検査ハンドブック 第4版

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小栗先生のこのハンドブックが出るのを心待ちにしていた微生物検査headzは多いことでしょう。
かく言う私も、第3版は新品がどうしてもみつからず、仕方なく誰かが試験前に書き込みしまくった中古本をAmazonで買って持ち歩いていました。
そんな中リリースされた小栗先生の待望のニューアルバム!
本当に待ちに待ったというに相応しい作品です。
もはやハンドブックの意味を超越した本の大きさですが、headzはあえてポケットに入れて持ち歩きましょう!


■マニュアル部門
総合診療・感染症科マニュアル

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亀マニュはホントに小さい本に必要事項がコンパクトにまとまっています。
マニュアル本は得てして退屈で読み飽きてしまうので、これまでマニュアル本を通読したことがなかったんですが、亀マニュは電車の中でもサラっと読める飽きさせない内容です。
これを読んだ後テンションが高くなったので「よーし、オレたちも市立奈良病院マニュアル(奈良マニュ)を作ろうぜ!」と近くにいた研修医に声をかけましたが、返事はなく、私の声はただ深い静寂へと沈み込んで行きました。
その日は普段よりも酒量が多かった記憶があります。


■HIV部門
抗HIV/エイズ薬の考え方、使い方、そして飲み方

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この名著のおかげでHIVを診るプライマリケア医が5万人は増えたのではないでしょうか。
HIV初心者はもちろんのこと、ある程度診療をしたことある医師も知識が整理できる内容です。
HIV関連って実はこういう本がなくて、岩田先生がHIVの本を書いていると別の著作で書かれていたので出るのを心待ちにしていました。


■買ったけどほとんど読んでねえぜ部門
Manual of Clinical Microbiology, 9th ed

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まあこれはなんというか・・・本棚に置いてあるだけでカッコいい本ってありますよね。
「おっ、こいつは勉強してそうだな」みたいな。

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これが僕の本棚ですが、このManual of Clinical Microbiologyがあるだけで賢い度が2ポインツくらいアップしてますよね。
こういう賢く見える本は裁断せずに取っておくタイプの浅ましい人間です、私は。
周りの先生方にナメられちゃいけませんから、ええ。
しかし買った直後に10版が出てしまって、なんか損した感じです・・・。
とりあえず微生物学に関しては小栗先生の本を熟読しております。


■考え方部門
呼吸器感染症の診かた、考え方
ICU/CCUの薬の考え方、使い方
関節リウマチの診かた、考え方

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このシリーズはどれも名著揃いですが、この3作は感染症にも関係している点が多く勉強させていただきました。
さて、この「考え方シリーズ」も各ジャンルが出揃ってきましたので、そろそろ医学以外にも手を伸ばしても良いのではないかと思っています。
すいませんがこのシリーズで「仏像の見かた、考え方」を出版してみたい出版社の方がいらっしゃいましたらご連絡いただけますでしょうか。
ご好評いただければ引き続き「日本庭園の見かた、考え方」「寺院の階段の見かた、考え方」もシリーズでいけると思いますし。
よろしくお願いいたします。


■個人的な思い入れ部門
感染症診療の手引き

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『感染症診療の手引き』は皆さんご存知の通り大曲貴夫先生方が作成されたものですが、これが最初にウェブ上に発表されたのは私がまだ救命センターで働いている頃でした。
当時の私は感染症のことをほとんど知らない状態でしたので、この手引きをプリントアウトして自分で冊子を作って常に持ち歩いておりました。

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今考えると周りの人からは「こいつ貧乏くせえなあ・・・」と思われていたかもしれません。
そして、数年後に奈良医大感染症センターに来て驚いたのですが、なんと『手引き』の冊子があったんですね。
全く知りませんでした。
奈良医大感染症センターの連中は私の自作の冊子よりも洗練された『感染症診療の手引き』を持ち歩いており、「おいおい、何だよこの冊子、オレにもくれよ!」と思いましたが、引っ込み思案な私は言えずに自作の冊子を使い続けておりました。

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これがその噂の冊子です。この写真は自治医科大学感染症科の藤谷好弘先生にいただきました。ボロボロに使い込んでいて良い感じですね。
その後は公開されている手引きのPDFをiPhoneに入れてカッコよく使うようになりましたが、自作の冊子は今も大事に机にしまっております。
そしてこの度ついに新訂版が登場しました。
しかも840円とお手頃な値段です。
あの頃の自分への供養として3冊購入しました。


■コンサルテーション・スキル部門
コンサルテーション・スキル

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まあ私の場合はコミュニケーションスキル以前に診療スキルをどうにかしろよっていう話もありますが、ひとり感染症医をやっていることもあり他科とのコミュニケーションは重要な問題です。
自分の交渉力のなさを痛感するたびにこれを読み返し、「フムフム、な〜る」と思うわけですが、なかなかすぐに上手くはいかないですね。
診療だけではなく、病院内での他部門との交渉に関しても役だってます。
今年はいろいろな部署と感染症に関する取り決めに関して衝突することがあり(ひとりでやってるといろいろあります・・・)、上手くやっていかなあかんな〜と思っていますので、さらにコミュニケーションについて勉強したいと思います。


さて、お待たせいたしました。
いよいよ大賞の発表です!
忽那が選ぶ医学書・オブ・ザ・イヤーに輝いたのは・・・

■医学書・オブ・ザ・イヤー
免疫不全者の呼吸器感染症
感染症ケースファイル

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いや、これはどちらも甲乙付けがたしということで両作とも受賞という形にさせていただきました。
医学生や初期研修医には『感染症ケースファイル』をお勧めしたいですし、後期研修医以降の方々には『免疫不全者の呼吸器感染症』をお勧めしたいです。


さて、医学書・オブ・ザ・イヤーをお送りしてまいりましたが、このような素晴らしい著作を書いてくださる先生方のおかげで我々は新たな知見を得たり、知識を整理することができるわけで、本当に著者の先生方には感謝しておりますし、心から尊敬しております。
というわけで今回、医学書・オブ・ザ・イヤーを受賞された著者の方々には、感謝の意を込めて忽那自作の回帰熱Tシャツを贈呈したいと思います。
全然欲しくないと思いますが、一方的に贈呈したいと思います。

最後にこっそり自分が一部書かせていただいた本も・・・
病院内/免疫不全関連感染症診療の考え方と進め方
感染症診療 Pro & Con

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原稿を書くことで改めて勉強させていただきました。
関係者の皆様ありがとうございました。

それでは皆様、良いお年をお迎えください。
来年もどうぞID CONFERENCEをよろしくお願いいたします。

2011年12月27日 (火)

ヒブが出た日。

♪いーつのーことーだか

 思い出してごーらん

 あんなこと

 こんなこと

 あったーでしょー


どうも、奈良のグラセン野郎こと、コバヤシです。
決して、僕が一応ブログを書いている、という事を「思い出せ」と強要している訳ではありません。


いままで、何度かヒブことHaemophilus influenzaeを見てきましたが、
(自分で見つけたことはありませんが。。。)
僕の知っている限り、
このグラセンブームが燃え盛っているうちの病院でさえ、研修医は毎回Hibは見逃してます。


2年目研修医「これ、Hibじゃないの?」

1年目研修医「え〜、そっちより、このGram陽性菌が原因菌っぽくないですか?」

2年目研修医「うーん、そうかもね〜」
 
 
 
 
そう!!

「はっ、はっ、はっ、Hibがゴミのようだ!!」

(もちろん、ラピュタのム○カ風に)

という理由からでしょう。
 
 
 
H.influenzaeはよくゴミと間違えられる!!
 
 
 
僕も、見つけられる自信は正直ありません!!(既に見逃しているかも、、、汗)

そんな、研修医を見かねて、「うちのししょー」こと忽那大先生が
「遠心しんしてやんよ!!」
と、
検査室をプチジャック、アーンド、セントリフュージ!!


と、その結果がこれ。
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点線か!!


と、誰もがツッコミたくなるような姿!!


すげー。。。


誰もが感心しました。


さてさて、そんな中、僕は独りでほくそ笑んでいました。

「ふっ、Hibとは限らないんじゃね?」と。


Haemophilus influenzaeという物は、莢膜株と非莢膜株があり、
莢膜株は莢膜のセロタイプによりtype a〜fの6種類に分ける訳です。
もちろん、HibというのはH. influenzae capsular serotype bのこと。


しかし、
この馬鹿の考える事は、確かに一理あるようです。

臨床細菌学で有名な本『Koneman's Color Atlas and Textbook of Diagnostic Microbiology sixth edition』によれば、

確かに、


H.influenzaeのserotype bが6種類のcapsular serotypeのうち、もっとも病原性が高い。


と書かれていますし、この本には、

Infectiousdiseaseassociated
(上の画像をダウンロード)

と、記載がある訳です。


え?
英語が読めない!!
しょーがないなぁ、訳しましょう。

Hib
(上の画像をダウンロード)


なので、疾患によっては、
Hibしか感染症を起こし得ない状況も多い訳です。

まぁ、そうなんです。


♪ヒーブのーことーです

 思い出してごーらん

 あんなこと

 こんなこと

 あったーでしょー


結局、奈良のグラセン野郎は思い出しても、知識が足りなかったという事です。

(> <;)

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