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2011年12月22日 (木)

写真自慢シリーズ①ネバネバクレブ

市立奈良病院の忽那です。
いきなりですが、どうですかこの写真。

P1360063

Klebsiella pneumoniaeのコロニーを引っ張り上げたときの写真ですが、過粘稠性(hypermucoviscosity)を示しておりネバネバ感が半端ない感じになっています。
このコロニーを持ち上げる試験をpositive string testといい、5mm以上の糸を引けば陽性となります。
先日奈良医大の微生物検査室にお邪魔したときに、このネバネバクレブ(通称ネバクレ)を発見し、30分ほどかけて美しいネバネバ写真の撮影に成功いたしました。
しかしこの美しいネバクレの写真を当ブログ管理人に自慢したところ「フッ・・・」と一笑に付され、

「その写真のネバネバ度はせいぜい『なめこ』程度だが、オレが保管しているKPC産生クレブのネバネバ感はそんなもんじゃない。ハッキリ言って『納豆』以上だ。出なおしてこい!」

と格の違いを見せつけられてしまいました。
このときの管理人はまるで「私の戦闘力は530000です」と言ったときのフリーザ様のようでした。はい。
ちなみにこのクレブは原発性肝膿瘍ではなく、普通の尿路感染症の症例から分離されたものです。
 
 
せっかくなのでこのネバネバクレブについて自分の知っている範囲でまとめておきます。

・K.pneumoniaeによる原発性肝膿瘍が、1990年代より台湾を中心として東南アジアに限局して市中感染型として発生している (J Exp Med. 2004 Mar 1;199(5):697-705.)。
・基礎疾患として糖尿病が多数を占めるが、基礎疾患のない患者でもみられることがある。
・これらの原発性肝膿瘍の分離株の多くはネバネバクレブであり、非原発性肝膿瘍由来株に比べて優位に多いと報告されている(J Exp Med. 2004 Mar 1;199(5):697-705.)。
・染色体性のmagAとプラスミド性のrmpAの2つの遺伝子が高い粘稠性に関係していることが報告されている(Clin Infect Dis. 2006 May 15;42(10):1351-8.)。
・このうち一方のmagAは莢膜血清型1型(K1)の莢膜合成に関与する遺伝子であることが判明しており、このK1株が欧米と比較して東南アジアでは圧倒的に多い原発性肝膿瘍発症に関与していたと考えられている。
・ネバネバクレブとK1株は必ずしも一致しないが、スクリーニングとして微生物検査室で簡便に行えるためネバネバ感を試してみると良いかもしれない。ネバネバ具合はむしろrmpAの遺伝子との関連が指摘されている。
・本邦でもすでにいくつか報告がある(J Infect Chemother. 2009 Aug;15(4):248-51. 感染症誌 2011;85:366-369)。

■参考文献
原田壮平. 肺炎桿菌-Hypermucoviscosity-転移性膿瘍. 呼吸器内科, 19(1); 17-21, 2011

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