無料ブログはココログ

« 2011年10月16日 - 2011年10月22日 | トップページ | 2011年10月30日 - 2011年11月5日 »

2011年10月29日 (土)

今日は当直です

管理人の笠原です。

今日は、私一人で大学病院の当直をしております。

奈良ホテルでは、研究会があり、宇野、忽那、小川医師たちが、グラム染色道場主と懇親してる様子が伝わってきました。楽しそうにやってるようで何よりです。

先ほど、とある科からリネゾリドの使用申請がありました。「検査室で今日はたまたま微生物のヒトがいたのでグラム染色してもらったらグラム陽性球菌でして…」とのことで、検査室に立ち寄ると、なじみの微生物検査技師さんがいらっしゃったのでグラム染色についてお話をしました。

当院ではリネゾリド使用にあたって申請書を記載してもらっていますので、当該科に訪れ、主治医と軽くお話をして申請書をもらい、薬剤部に寄ったところ、今日はたまたま薬剤部の当直がHIVと抗菌薬をそれぞれ専門にしているお二人の薬剤師が当直でしたので、控え室で30分ほど将来の夢を語り合っておりました。

21時を過ぎて医局に帰ってきましたら、この1ヶ月間大阪医療センターでHIVの研修をしていた山田医師が、来年長崎の感染症学会で発表するカンジダ敗血症のまとめをやりに来たようです。明日も当直だというのに熱心なことです。

私は今から、指導している大学院生の研究で送付する手指衛生のアンケートに手を入れるところです。現在ICNと一緒にICTマニュアルも大改訂中ですし、まだまだ寝れそうにありません。

奈良医大の感染症センターは、こんなところです。我ながら本当に恵まれた環境だと思います。来年から一緒に働いてくれる(当直してくれる)人を継続して募集しています。我こそは、という方は感染症センターまたは管理人まで是非ご連絡をください!ホームページは以下です。

http://www.naramed-u.ac.jp/cid/

感染症診療も、感染対策も、熱帯感染症も、HIVも、寄生虫も臨床薬理学も臨床微生物学も、みんなみんな欲張りたい!、という人の応募をお待ちしております。

2011年10月28日 (金)

グラム染色コレクション自慢大会

忽那です。
最近また鼻茸が育ってきました。
昨年末に手術してガリガリ削っていただいたのですが、しつこい野郎です。
おかげでこの数週間、嗅覚・味覚が徐々になくなってきています。
かなり辛いです。
でも・・・たとえ五感のうち2つを失っても、このID-CONFERENCEだけは最後までやり続けてみせるぜ!

・・・さて、今日は私のコレクション自慢の会です。
数日前に行った趣味の実験が失敗してしまったため、ネタがなくなり急遽差し替えとなったわけです。

グラム染色をしていると、ときどき「ほほう・・・」と通を唸らせる所見を拝むことができます。
私がこれまでに貯めてきたそのような記録をここで開陳させていただき、皆様にはワインを傾けつつご閲覧いただきたいと思います。

まずはこちら!

Photo_4

ランセット型のグラム陽性双球菌・・・ごく普通の肺炎球菌です。
しかしこの検体、実は膣分泌物なんです!
BVの起炎菌としての肺炎球菌・・・けっこうレアです。
いつも一緒にいる人でも、珍しい所でたまたま見かけると「おやっ」と思いますよね。たとえば僕の妻が知らない間に宇宙船飛行士になってたらたぶんビックリすると思います(たとえが間違っている気もしますが)。
細菌も同じことが言えます。
いつも喀痰で見てる肺炎球菌でも、膣分泌物で見つけたら不思議と感慨深い・・・。
いやー、グラム染色って奥深いですねえ。

いかがでしょうか。
ワインは進んでいますでしょうか。
それでは次の写真に参りたいと思います。

Germ_tube_4

これはC. albicansのgerm tubeです。
酵母からウニョウニョと生えてきているのは発芽管(germ tube)というもので、Candida属の中でもこの発芽管がみられるのはalbcansdubliniensisだけです。
albicansかどうかで抗真菌薬の選択が変わるので、この所見はけっこう重要です。
培地上に発育した酵母をウサギ血漿に溶解して3時間に観察すると、この発芽管がウジャウジャ観察できるそうです(私はやったことはありません)。

グラム染色貴族の皆様、いかがでしょうか。
私は鼻茸のせいでワインの味が分かりませんので、私にお気遣いなくグビグビ飲んでください。

それでは次のとっておきの写真を見ていただきましょう。

Photo_2

菱形の物体があるのがお分かりでしょうか。
マニアな方は「すわ!デカいFusobacteriumかっ!?」と一瞬間違われるかもしれませんが、これは気管支喘息患者の喀痰で認められたシャルコーライデン結晶です。
シャルコーライデン結晶は好酸球が崩れ、内顆粒が結晶化して形成されたものです。
だから何だって感じですよね。
別にこれが見えたからどうということはないのですが、個人的には繊毛上皮と並んで「見えたらなんとなく嬉しいもの」に含まれます。

私のコレクションはいかがでしたでしょうか。
明日のグラム染色道場師範のご講演に備えて勉強しなければなりませんので、今日のところはこれくらいにしておきます。
またコレクションが貯まったら開陳させていただきます。
皆さんもレアな写真をお持ちでしたら、ぜひとも教えてください。

2011年10月23日 (日)

ぶどう膜炎と感染症

市立奈良病院の忽那です。

先日、「抗菌薬適正使用研究会」なる研究会が奈良ホテルで催されました。
私は昨年に引き続き、症例について診療の進め方やアセスメントのコメントをさせていただく「症例コメンテーター」という、おまえ何様やねん的なポストをいただきました。
前回のエントリーでも書きましたが、昨年は不相応な立派なポストにビビりすぎて、あまり良いコメントもできず、もちろん正解にも辿りつけず、良いところなく終わってしまいました。
参加者の皆さんからの「やっぱダメじゃん・・・つーかあいつ誰だよ」的な視線が痛かった1年前・・・。
その夜は寂しくて、ついつい田舎の母にも電話してしまいました。

そして昨日、リベンジのときがやってきました・・・。
今年こそはやってやるぜ!

Au12thbattle111

症例検討会は2例ありました。

1例目は7歳男児が腹痛・下痢・発熱でやってきて、発熱だけが遷延して・・・というケース。
な、7歳・・・?
うわーやばい・・・小児の感染症、全然分かんねえええええええええ!

12747136994bfa96636b429_import_2

「くっ!小児感染症に関する知識が足りない!」

Images

「うわああああああああああ!」

ほぼ歯が立たず、あっさりゴールを決められてしまいました。
結局症例はリンパ節腫大を伴わず、ぶどう膜炎と発熱だけがみられた非典型的なCat Scratch Diseaseの症例でした。
そんなもん分かるかい!(冷静に考えたらそうでもないか・・・アセスメントが足りませんでした)
進行役の当ブログ管理人もしてやったりの表情。
そして意気消沈の忽那。

このままでは昨年の二の舞になってしまう・・・。
自分を奮い立たせなければ・・・。
2例目の前に進行役の管理人から意気込みを聞かれたので、会場に向かって猪木ばりのマイクパフォーマンスで「次は当てるぜ宣言」をして自分を追い込んだ忽那。
ヒートアップした会場からは忽那コールの嵐!(※一部誇大表現があります)
そして挑んだ2例目はANCA関連血管炎のためステロイド内服中に発熱した77歳の症例だったんですが、細胞性免疫不全というキーワードから絞り、見事にクリプトコッカス症の診断にたどり着きました。

366

「よっしゃああああああああああああ!」

自分に酔いしれたひとときでした。
あのカッコいい姿を田舎の母に見せたかったなあ・・・。
母ちゃん、オレ、頑張ってるよ!

というわけで、なんとか今年は一矢報いることができました。
来年は2連勝できるように研鑽を磨きたいと思います。

しかし1例目のぶどう膜炎の症例には刃が立たなかったのが悔しいので、復習しておくことにしました。
ぶどう膜炎って感染症医にとって重要な眼科疾患だなあと改めて認識した次第です。
眼科の知識がほぼゼロなので、間違っていたらどなたかご指摘ください。
ちなみに自分が経験したことあるのはBehcet病、カンジダ眼内炎、結核性ぶどう膜炎、CMV網膜炎だけです。

■ぶどう膜炎とは
・ぶどう膜炎は眼内の炎症であり多くの原因によって起こる。ぶどう膜炎を示唆する症状があれば眼科医への紹介が必要である。
・ぶどう膜は眼の中間部に位置する。ぶどう膜という言葉はラテン語の「ブドウ」に由来しており、これはかつて解剖学者たちは眼球の外側の皮の下にはブドウのような構造が残ると考えていたためである。
・ぶどう膜の前部には虹彩と毛様体があり、後部には脈絡膜がある。
・前部ぶどう膜の炎症は前部ぶどう膜炎と呼ばれ、これは虹彩炎と同義である。隣接する毛様体にも炎症が及ぶと、虹彩毛様体炎という。
・水晶体よりも後方にある硝子体炎、中間部ぶどう膜炎、扁平部炎、脈絡膜炎、虹彩炎、脈絡網膜炎などを全てまとめてぶどう膜炎と呼ぶ。

■ぶどう膜炎の原因
・ぶどう膜炎は、眼の炎症部位、発症様式、対称性、炎症の持続性、合併症の有無、角膜内皮細胞の分布(角膜後面沈着物)などによって区別される。角膜後面沈着物の大きさや分布は鑑別診断に役立つ。角膜後面沈着物の多様な所見は特に共焦点顕微鏡法を用いた拡大画像での評価が優れる。
・ぶどう膜炎は大きく4つの原因に分けられる。
  1)感染症
  2)全身性免疫疾患
  3)眼内病変のみ
  4)仮面症候群
・アメリカの眼科医は年に平均10例のぶどう膜炎を診ている。
・解剖学的には前部ぶどう膜炎が多く、3次医療機関ではぶどう膜炎の50〜60%、プライマリケア医では90%を占める。
・ぶどう膜炎の原因が判明するのは半分にすぎない。
・ぶどう膜炎の所見が全身疾患の診断のための最初の手がかりとなることがある。前部ぶどう膜炎の原因疾患として、HLA-B27とその関連の血清反応陰性脊椎関節炎が西欧諸国では最も多い。
・ぶどう膜炎はどの年齢でも起こり性差はない。ある研究ではぶどう膜炎患者の平均年令は45歳であった(Am J Ophthalmol  1996; 121:35-46.)。
・遺伝的素因はぶどう膜炎の発症に寄与している。急性前部ぶどう膜炎を起こした76組の兄弟の全ゲノムスキャンを行い証明された(Arthritis Rheum. 2005;52(1):269.)。この研究では、ぶどう膜炎と9番染色体の遺伝子座との明らかな関連が認められた。また強直性脊椎炎に罹患しやすい家系の大部分がぶどう膜炎の発症にHLA-B遺伝子座が関連していた。

■ぶどう膜炎の分類・症状・臨床所見・病原微生物
Photo_3

■感染症によるぶどう膜炎
・ぶどう膜炎の感染性の原因には細菌感染症、スピロヘータ疾患、ウィルス感染症、真菌感染症、寄生虫疾患がある。これらの感染症は一般的に臨床像が異なり、また患者層も異なる。
Photo_4
・新生児のぶどう膜炎・網膜炎のほとんどは先天性感染によるものである。トキソプラズマ、風疹、サイトメガロウイルス、ヘルペスウイルスなどのTORCH症候群の病原微生物はぶどう膜・網膜に病変が及ぶ。
・免疫抑制患者のうち、ぶどう膜炎・網膜炎がみられるのはほとんどがAIDS患者である。しかし、血流感染による真菌性眼内炎は、その他のタイプの免疫不全でも起こりうる。
・成人のCMV網膜炎はほぼ免疫抑制患者、特にCD4数が極めて低下したHIV感染症にみられる。CMV網膜炎は先進国のAIDS患者では多いが、途上国のAIDS患者では少ない。
・トキソプラズマ症は健常者のぶどう膜炎の原因として意外に多い。多くの症例が潜伏感染の再活性化と考えられている。脈絡網膜に炎症がみられる場合に疑われ、血清学的検査は補助診断として用いられる。アメリカでは血清学的にトキソプラズマ症の既往があるのはごく普通のことである(Am J Ophthalmol. 1990;109(4):407.)。ほとんどのトキソプラズマ症による脈絡網膜瘢痕は妊娠中の感染によるが、最近の感染による瘢痕化と思われる症例が増加している(Ophthalmology. 2002;109(5):869.)。
・梅毒は多くの研究でぶどう膜炎の原因の1%以下の頻度である。脈絡網膜炎や網膜血管炎のような後部ぶどう膜炎など様々な形態を取ることがある(Surv Ophthalmol. 1992;37(3):203.)。
・結核はアメリカではぶどう膜炎の原因としては稀である。ステロイド治療を行なってもぶどう膜炎が増悪する場合は鑑別診断として考慮すべきである。また、眼病変以外に活動性結核がある場合、羸痩、ホームレス、眼病変が肉芽様である場合、免疫抑制患者でも結核性ぶどう膜炎を疑う。サウジアラビアのような地域では結核はぶどう膜炎の原因として一般的である。
・猫ひっかき病(CSD)はぶどう膜炎の原因として増加している。CSDによるぶどう膜炎は様々な形態を取り、星芒状黄斑と視神経浮腫が特に特徴的である(Ophthalmology. 2000;107(5):871.)。
・ウエストナイル熱も網膜血管炎に関連した脈絡網膜炎を起こす。ウエストナイル熱ではぶどう膜炎はよくある所見だが、無症候性のこともある。
・HSVもHZVも前部を中心に角膜とぶどう膜炎に炎症が起きる角膜ぶどう膜炎を呈することがある。皮膚の水泡、特徴的な角膜の変化、角膜の感覚低下、眼圧上昇、虹彩の萎縮が診断の手がかりとなる。HSVとHZVどちらも急性網膜壊死として知られる網膜炎を起こすこともある。
・HTLV-1によるぶどう膜炎は日本でよくみられる。

■全身疾患に伴うぶどう膜炎
Photo_2

■参考文献
1)テクモ: キャプテン翼. FAMILY COMPUTER; 1988
2)Mandell: Mandell, Douglas, and Bennett's Principles and Practice of Infectious Diseases, 7th ed. Chapter 113 - Infectious Causes of Uveitis.
3)UpToDate 19.2 Uveitis: Etiology; clinical manifestations; and diagnosis
4)Cohen & Powderly: Infectious Diseases, 3rd ed.Chapter 17 - Infectious retinitis and uveitis

« 2011年10月16日 - 2011年10月22日 | トップページ | 2011年10月30日 - 2011年11月5日 »

最近のトラックバック