無料ブログはココログ

« 2011年7月31日 - 2011年8月6日 | トップページ | 2011年8月14日 - 2011年8月20日 »

2011年8月12日 (金)

血液培養コメント教室 その2

それではお作法を理解していただいたところで、第二問です。

症例は43歳男性、膵臓癌術後です。術後3日目から発熱があり、セフメタゾールを使用していました。なかなか解熱しないので主治医が血液培養を採取し、血液培養2セット、4本中嫌気ボトル1本から培養20時間で陽性になりました。グラム染色の写真を示します。

主治医に対する適切なコメントをお願いします。

回答は来週月曜日頃に行いますので、それまでにご投稿お願いします。

Copy_2

2011年8月11日 (木)

観察日記①黄色ブドウ球菌が培地に生えてくるまで

市立奈良病院の忽那です。

我々が細菌検査に検体を提出した後、どうなっているのか皆さんは御存知でしょうか。
簡単に言うと、提出したその日は検体を培地に塗って、寝かせておいてコロニーが形成されるのを待つのです。
培地を翌朝まで孵卵器に入れておくと、朝にはコロニーが形成されています。

しかし、教科書にはそう書いていますが我々は実際にコロニーができている様子をみているわけではありません。
ひょっとしたら夜中にリトルピープルが現れて、培地に卵を産み付けているのかもしれません。
我々は巨大な何かに騙されているのかもしれない・・・。
そんなことが気になって眠れナイトを過ごしている32の中年男子。
自ずと酒の量が増えていきます。

そういうわけで、先日管理人先生に血液寒天培地をいただいてきました。
これに忽那の鼻腔に突っ込んで採取した検体から生えてきた黄色ブドウ球菌を塗って、翌朝まで観察してやろうじゃないか!というわけです。
一応断っておきますが、忽那は決してヒマなわけではありません。
しかしまあ、好奇心が勝ってしまい、こういうムダなことをしてしまうわけです。

まずは、培地に膿汁を塗ります。
ちなみに黄色ブドウ球菌なので室温で二酸化炭素がなくても生えてくるはずです。

Img_0945_2

この培地を、白い紙の上に貼り付けます。

P1170740_2

おおっ、日本国旗!
他意はありませんので、もし左翼の方がこのブログを読んでいても炎上させないでください。

で、これを壁にかけて固定して、iPhoneを三脚で撮影できるように設置します。
さらに露出が狂わないようにライトを常に当てておきます。

P1170742_2

何やら怪しいことを始めようとしている夫と見て、妻は諦念の表情を浮かべていますが、気にせず続行。
培地とカメラの設置はこれでOK。
次にiPhoneの設定です。

P1170744_2

今回使ったアプリは「Time Lapse」というものですが、インターバル撮影ができるものであれば何でも良いと思います。
2分間隔で撮り続けるように設定して、焼酎をかっくらい就寝します。

翌朝、二日酔いで起きてみると・・・

Img_1230_2

おおっ、生えてる!
何か菌っぽいのが生えてる!
やっぱりリトルピープルの仕業じゃなかったんだ!

というわけで、iPhoneで連続撮影をしたものを動画にしてみましたので御覧ください。
菌が生えてくる様子が分かる、感染症医にはヨダレものの映像です。




我ながら地味な動画だなあ・・・。

えーと、忽那は一応感染症の心得がある程度あるのでこういうことをやっても大丈夫なわけです。
危険なので皆さんはマネしないでください(誰もしないと思いますが)。

習作はこれにて終了。次は何しようかな・・・。

2011年8月10日 (水)

血液培養コメント教室 その1 回答編

管理人です。

このままだとただのおふざけコーナーになってしまいそうなので、回答見本を出します。
電子カルテを確認したところ、経口キノロン系薬を使用中に発熱し、第4世代セフェム系薬を2日間使用されましたが解熱せず、静注キノロン薬に変更され、その最中に採取された血液培養でした。
血液培養は1セットしか採取されておらず、嫌気ボトルから培養29時間で写真のような菌が陽性になりました。また化学療法により多数の口内炎があったようです。この状況でのコメントです。

◎月◎日に採取された血液培養(1セット)の嫌気ボトルから培養29時間でグラム陰性桿菌が陽性になりました。

患者さんに多数の口内炎があるという背景と、菌体の形状(非常に細長い)を考えると第一には口腔内のグラム陰性桿菌(特に今回のグラム染色のような細長い形状をとる Fusobacterium spp. または Capnocytophaga spp.)が考えられます。

もともと予防に経口キノロン系薬をご使用になっていたとのことですので、本菌はキノロン系薬に耐性の可能性があります。βラクタム系薬へのご変更をおすすめします(特に口腔内の細菌はβラクタマーゼを産生することが多いので、ペニシリン系薬ならばβラクタマーゼ阻害剤を配合したものがよいと思います)。

緑膿菌などのカバーが必要なければアンピシリン・スルバクタムでもよいと思いますが、発熱性好中球減少症の状態のようですので、緑膿菌もカバーする抗菌薬がよいかと思います(例えばピペラシリン・タゾバクタムなどはいかがでしょうか(本患者の腎機能ならば……を……回くらいが適当と思います)。

明日午前中には同定結果が、明日午後には感受性結果が判明する予定ですので、その際に再度ご連絡いたします(あるいはその際により適切な抗菌薬にご変更ください)。
(→次のアクションが可能なタイミングをあらかじめ言っておくとスムーズ)

今回は嫌気ボトル1本からの培養陽性で、真の原因微生物かどうか判定しにくい部分もあります。もし発熱が持続するようでしたら次回は血液培養を2セットとっていただくとよいと思います(その方がより確実に敗血症の原因微生物の診断が可能です)。
(→次に同じようなことがあったとき、より良い感染症診療をしていただくためのサジェスチョンをしのばせておく)

ご質問などがありましたら◎◎までご連絡ください。

というような感じです。培養は Capnocytophaga gingivalis, LVFX MIC 8 でした。

2011年8月 9日 (火)

奈良医大感染症センターでは医師を募集しています & ブログ開設しました

奈良県立医科大学感染症センターでは平成24年度、当科で働いていただける医師を募集しております。
詳しくは当科ホームページをご覧ください。
また当科のブログも開設しております。こちらもご愛顧くださいますようお願いします。

2011年8月 9日 (火)

血液培養コメント教室 その1

皆様、そろそろお忘れになっているかと思いますが管理人です。
忽那先生や小林先生、コメントを書き込んでいただいた方々に感謝申し上げつつ一枚ご検討いただきたいと思います。
症例は64歳女性、血液悪性腫瘍のため化学療法中でした。キノロン系薬を予防投与中に発熱、血液培養が陽性になりました。

Id_conference

奈良医大では血液培養陽性患者に対し、カルテに「recommendation」を書き込んでいます(血液培養が陽性になった。これこれと考えられる。これこれやこれこれの検査をしたほうがよい、これこれの抗菌薬をつかって、これこれしなさい)。

皆さんも奈良医大で働いたつもりになって、「主治医へのコメント」を書いてみてください。

2011年8月 7日 (日)

「頭痛と細菌性髄膜炎」の参考文献 @ IDATENサマーセミナー

P1000905

忽那@市立奈良病院です。
忽那と管理人はこの週末、あのIDATENサマーセミナーにインストラクターとして参加させていただいておりました。

今更説明するまでもないかもしれませんが、IDATENセミナーとは夏と冬の年2回開催されるIDATEN主催の感染症講習会で、音羽病院の大野先生を中心としたIDATEN講師陣の怒涛の感染症のレクチャー&毎晩飲み会という日本感染症界のお祭り行事です。
実は忽那は救急医時代にこのIDATENセミナーを受講し、感銘を受けて感染症の世界に身を投じたという現病歴があります。
そのようなセミナーに前回のウインターセミナーに引き続いてインストラクターとして参加させていただき、本当に光栄です。
当時、憧れの存在だった先生方と一緒にインストラクターとして参加させていただくなんて・・・飲み会の席でなぜか大野先生と半ケツで同じイスに座れるなんて・・・。
もはや思い残すことはありません・・・(別に半ケツしたかったわけではないんですが)。
僕は夢を叶えたので本日を持って医師を引退し普通の中年のオッサンに戻ります・・・。今までありがとうございました!

・・・と思っていましたが、なんと実は次回のIDATENウィンターセミナーは奈良で開催されます!
天理よろづ相談所病院、奈良医大感染症センター、市立奈良病院を中心にした奈良チーム(仮称SHIKA-TEN)が担当させていただく予定です!
それが無事に終わるまでは医者を辞めるわけにはいきません!(辞める気ないんですが)
大野先生から後日正式にアナウンスがあると思いますが、皆さん、ぜひ奈良にお越しください。
大仏と鹿とせんとくんと一緒に感染症を学びましょう!

Idaten2012

最後に、私が今回のサマーセミナーで担当させていただいたのは「頭痛と細菌性髄膜炎」「肺炎球菌」のセッションだったんですが、参考文献がたくさんありすぎて掲載できなかったので、こちらに掲載しておきます。
Further Readingとしてご参考ください。

■全体を通じて参考にさせていただいた文献など

Practice_guidelines_for_the_managem ・細菌性髄膜炎のIDSAガイドライン(基本中の基本)
Practice guidelines for the management of bacterial meningitis.Clin Infect Dis. 2004 Nov 1;39(9):1267-84.











00 ・頭痛のアプローチと細菌性髄膜炎
山本舜吾. 頭痛 ─コワイ頭痛は「最悪」「増悪」「突発」の3つを確認せよ. jmedmook07 いきなり名医!見逃したらコワイ外来で診る感染症 感染症診療コツのコツ












1106021152 ・細菌性髄膜炎のコントラバーシー
Fong, I. W.. 『感染症のコントラバーシー』 第I部 第1章 中枢神経感染症で出てきた新たな問題 .













475810607x ・細菌性髄膜炎の髄液検査の解釈など
林寛之. 『Step Beyond Resident 2 救急で必ず出合う疾患編』. 7章 知っておきたい髄膜炎のTips













■頭痛
・頭痛のアプローチ
頭痛を見極める! レジデントノート2009年8月号

・大事な質問「最悪・増悪・突発」
馬杉綾子, 生坂正臣. 一般外来における頭痛に大切な3つの質問(最悪、増悪、突発). 救急医学29; 1389-1392. 2005

・怖い頭痛のRed Flag
Headache assessment and management. JAMA. 2003 Mar 19;289(11):1430-3.


■髄膜炎

・概論
Bacterial meningitis--a view of the past 90 years. N Engl J Med. 2004 Oct 28;351(18):1826-8.

・救急外来受診時に予後はある程度決まってしまいますよ、という話
Community-acquired bacterial meningitis: risk stratification for adverse clinical outcome and effect of antibiotic timing. Ann Intern Med. 1998;129(11):862.

・病歴と身体所見の感度・特異度など。有名なJAMAのシリーズ
The rational clinical examination. Does this adult patient have acute meningitis?  JAMA. 1999;282(2):175.

・Jolt Accentuation 原著
Jolt accentuation of headache: the most sensitive sign of CSF pleocytosis. Headache. 1991 Mar;31(3):167-71.

・Jolt Accentuation 追試
Jolt accentuation of headacheの髄膜炎における感度と特異度
日本頭痛学会誌 35 :133, 2008
Jolt accentuation of headache in diagnosis of acute meningitis.
Iranian Journal of Clinical Infectious Diseases 2010;5(2):106-109
Accuracy of physical signs for detecting meningitis: a hospital-based diagnostic accuracy study.
Clin Neurol Neurosurg. 2010 Nov;112(9):752-7.

・KernigとBrudzinskiの感度特異度
The diagnostic accuracy of Kernig's sign, Brudzinski's sign, and nuchal rigidity in adults with suspected meningitis.Clin Infect Dis. 2002 Jul 1;35(1):46-52.

・腰椎穿刺前に頭部CTを撮った方が良い場合
Computed tomography of the head before lumbar puncture in adults with suspected meningitis. N Engl J Med. 2001 Dec 13;345(24):1727-33.

・細菌性髄膜炎の血液培養
Clinical features and prognostic factors in adults with bacterial meningitis. N Engl J Med. 2004;351(18):1849.
Ann Intern Med. 1998;129(11):862.

・日本における細菌性髄膜炎の疫学的な情報(治療については個人的には異議ありですけど・・・)
日本神経感染症学会. 細菌性髄膜炎の診療ガイドライン

・細菌性髄膜炎のエンピリック治療
Initial therapy and prognosis of bacterial meningitis in adults. UpToDate 19.1

・髄液を使って肺炎球菌尿中抗原(けっこう有用)
Rapid diagnosis of pneumococcal meningitis: implications for treatment and measuring disease burden. Pediatr Infect Dis J. 2005 Dec;24(12):1093-8.
New rapid antigen test for diagnosis of pneumococcal meningitis. Lancet. 2001 May 12;357(9267):1499-500.
Use of the NOW Streptococcus pneumoniae urinary antigen test in cerebrospinal fluid for rapid diagnosis of pneumococcal meningitis. Diagn Microbiol Infect Dis. 2003 Apr;45(4):237-40.
Enhanced diagnosis of pneumococcal meningitis with use of the Binax NOW immunochromatographic test of Streptococcus pneumoniae antigen: a multisite study. Clin Infect Dis. 2009 Mar 1;48 Suppl 2:S49-56.

・成人のステロイド
Dexamethasone in adults with bacterial meningitis. N Engl J Med. 2002 Nov 14;347(20):1549-56.
Clinical features and prognostic factors in adults with bacterial meningitis. N Engl J Med. 2004 Oct 28;351(18):1849-59.
Corticosteroids for acute bacterial meningitis. Cochrane Database Syst Rev. 2010 Sep 8;(9):CD004405.

・小児のステロイド
Dexamethasone therapy for bacterial meningitis. Results of two double-blind, placebo-controlled trials. N Engl J Med. 1988 Oct 13;319(15):964-71.
Dexamethasone treatment for bacterial meningitis in children and adults. Pediatr Infect Dis J. 1989 Dec;8(12):848-51.
Dexamethasone as adjunctive therapy in bacterial meningitis. A meta-analysis of randomized clinical trials since 1988. JAMA. 1997 Sep 17;278(11):925-31.
Dexamethasone treatment in childhood bacterial meningitis in Malawi: a randomised controlled trial. Lancet. 2002 Jul 20;360(9328):211-8.

・Hibワクチン(いっぱい研究がありますので1つだけ。要するに髄膜炎が激減している)
Elimination of Haemophilus influenzae type b (Hib) disease from The Gambia after the introduction of routine immunisation with a Hib conjugate vaccine: a prospective study. Lancet. 2005 Jul 9-15;366(9480):144-50.

・PCV7
Effect of pneumococcal conjugate vaccine on pneumococcal meningitis. N Engl J Med. 2009 Jan 15;360(3):244-56.

« 2011年7月31日 - 2011年8月6日 | トップページ | 2011年8月14日 - 2011年8月20日 »

最近のトラックバック