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2011年5月 6日 (金)

告知:平成23年5月13日(金)第3回奈良小児感染症カンファレンス

平成23年5月13日(金曜日)17時45分~20時00分

かしはら万葉ホールの4階で、第3回奈良小児感染症カンファレンスが開催されます。

特別講演I(18時00分~)

東京都立小児総合医療センター 救命・集中治療部 救命救急科 井上信明先生
「感染症診療における小児救急的アプローチ」

特別講演II(19時00分~)

自治医科大学臨床感染症センター感染症科 准教授 矢野晴美先生
「抗菌薬はじめの一歩 2011」

井上先生は奈良医大ご卒業で、天理よろづ、ハワイ大学、豪州マーター大学などで臨床研修を修了されました。矢野先生はこのブログではあえて説明の必要はないですね。

お二人の素晴らしい講師をお迎えしての予定となっています。
皆様是非ご参加ください!

HIVの基本事項①疫学

忽那@市立奈良病院です。

この4月から市立奈良病院のエイズ拠点病院となりました。
奈良県で2つ目のエイズ拠点病院です。
これまで各都道府県でエイズ拠点病院が一つしかないのは奈良県だけという不名誉な状況で、奈良県立医科大学附属病院だけで奈良県内のHIV症例を全て診ることになっていました。
しかし、北和地区にも拠点病院ができたことで、今後少しでも患者さんの負担が減らせればと考えています。

やはり職員の中にはHIV感染症に関する知識が乏しいため偏見を持つ人も少なからずいて、私が市立奈良病院に赴任してから拠点病院になるまで1年かかったわけですが、奈良医大のHIV診療をされている古西先生・宇野先生や東京医大の山元先生にもアドバイスをいただきながら、なんとかここまでこぎつけることができました。

さて、私はHIVには非常に興味を持っているわけですが、すでに1年以上HIV診療から離れており、(大きい声では言えませんが)それ以前もたいして経験があるわけでもないので、もう一度HIVについての基本的な知識をアップデートしています。
今回は疫学について。


1. 世界での流行状況
・AIDSは1981年にアメリカでMSMの男性で初めて見つかった
・1980年代にサハラ砂漠 以南アフリカ地域において爆発的に流行し、その後パンデミックとなった
・2009年末時点でpeople living with HIVは3300万人、男女比は半々
・3300万人のうち、2250万人はサハラ以南のアフリカに住んでおり、この地域では成人の罹患率は5%にも達する
・これまでに世界では3500万人以上のHIV感染者がHIV関連疾患で無くなっている
・新規HIV感染者数が2001年には年間300万人だったが、2008年には270万人に減少している
・子どもの新規HIV感染者が2000年の45万人から2007年には37万人に減少している
・HIV関連疾患で死亡する人が2005年の220万人から2008年には200万人に減少している
・開発途上国の病院や診療所でHIV治療を受けている人々が5年前の10倍以上に増加し、2007年末には300万人に達した
 ・HIV感染者の大半が集中しているサハラ以南のアフリカ地域(2007年末時点で2200万人)では対策が不十分
・アジア地域で拡大が懸念されている
・アジアではHIV感染者は470万人で、その半分以上はインドに在住している
・インドでのHIV感染は85%が性行為によるものと考えられている
・タイ、カンボジアでは1990年代に国民あたり2~3%の感染率となる広がりを見せた
・タイでの新規HIV感染者の10人中4人が女性で、多くが売春や薬物注射で感染したパートナーからの感染であったと報告されている
・バンコクのMSMのHIV感染率は2003年の17%から2005年には28%に上昇している
・中国では100万人以上がHIVに感染しているだろうと政府は推計している
・中国での新規HIV感染は、49%が薬物使用、50%が性行為によるものと考えられている
・中国の河南省、広東省、雲南省などの一部の地域においては、HIVに汚染された注射器具を使った薬物使用や性行為による感染でHIVが増加している
・中国での2007年の新規感染者50000人のうち、MSMは12%を占めた

2. 日本での流行状況
・血液凝固因子製剤による感染例を除く2010年12月26日までの累積報告数は、HIV感染者が12623件、AIDS患者が5783人、HIV/AIDS患者全体で18406人
・新規HIV/AIDS報告数は2004年に1000人を超え、2008年にはHIV感染者1126人 / AIDS431人、合計で1557件となっており、未だに増加傾向にある
・1日あたり4.3人が新たにHIV感染者あるいはAIDS患者として報告されている
・「いきなりエイズ」として報告される症例が多く、HIV感染に気づかないまま感染を広げている例が多数存在することが疑われる
・性的接触による感染がほとんどを占めている
・年齢分布はHIV感染者は20~39歳に集中し、AIDS患者は20歳から60歳以上まで幅広い分布をしている
・日本国籍のAIDS患者は30代、40代の中高年齢層の報告が中心であるが、15〜24歳、50歳以上の年齢層が近年増加傾向にある
・都道府県別では東京、大阪、神奈川、愛知、福岡、兵庫、埼玉、千葉など都市部に集中している
・最近5年間の報告のうち、日本国籍男性例は85.1%を占め、日本国籍女性は4.1%であった
・日本国籍男性の異性間感染は14.7%に対し、同性間感染は62.2%を占めた
・特に東京・近畿・九州地域では男性同性間感染が70%を占める
・献血におけるHIV検査実施件数での陽性率は1990年から上昇傾向を続け2008年には10万件あたり2.107となっている(イギリス 0.6、ドイツ 1.2、フランス 1.4)
・HIV抗体検査を受けたMSMのHIV抗体陽性率は大都市で2-5%、梅毒抗体陽性率は15-20%
・男性異性間感染者数は横ばいだが、男性同性間感染者数が増加が続いている
・外国国籍の感染例はHIV感染者数が年間100件前後、AIDS患者は50-70件で推移している
・外国国籍の感染例ではHIV/AIDSに占めるAIDSの割合が高い
・1990年代初期の報告例では、ほとんどが東南アジア出身女性であったが、2002年頃からはラテンアメリカ国籍のHIV感染者がほぼ同数(20件前後)となっている
・1990年代では海外での感染例が多かったが、近年では国内感染例が増加している

参考文献
1) 日内会誌 98:2747-2753,2009
2) The global human immunodeficiency virus pandemic. UpToDate 18.3
3) 平成22年第4四半期におけるエイズ発生件数. 厚生労働省
4) HIV感染症とAIDS. HIV 感染症と AIDS の疫学:世界と日本

不定期で続く。

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