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2011年1月 4日 (火)

年越し症例検討会 解答編

市立奈良病院のくつなです。
あけましておめでとうございます。

さて、年越し症例検討会ですが、当ブログ管理人から新年早々にコメントがあり、それがまたしても正解でした。
非常に悔しいです。来年の年越しは頑張りたいと思います。
ゲストライターが出題して、管理人が答えるという「ブログ書いてる2人で内輪で何やってるんだ」という感じですが、皆様からのコメントもお待ちしております。

以下、解答編です。

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追加で問診を取った事項としては
・性交渉はあるかどうか:ある
・パートナーは何人?:1人
・パートナーはどんなひと?:学生、遊んでないと思うけど・・・
・避妊はしているか:している
・どのような避妊をしているか:外で出している(それって避妊じゃ・・・)
・コンドームやピルは?:使ってない
・帯下は増えてないか?悪臭は?:増えてる、悪臭もある
・妊娠したことは?:ない
・STDになったことは?:ない

追加の身体所見としては
・咽頭は異常なし(淋菌性咽頭炎の除外)
・下腹部で軽度の圧痛あり
・肝叩打痛あり
・内診・直腸診は拒否されたのでしてません・・・

追加の検査項目としては
・妊娠反応:陰性
・子宮頚管分泌物のグラム染色(自分で採取してもらいました):白血球のみでグラム陰性球菌は認めず
・子宮頚管分泌物の核酸増幅検査(TMA法):後日クラミジアは陽性、淋菌は陰性と判明
・B型肝炎、HIV、梅毒:後日陰性と判明
・一応、胆嚢炎の除外目的で肝酵素・胆道系酵素を測定してしまいましたが、異常なし

以上より診断としては
# クラミジア感染症(子宮頸管炎、PID、Fitzhugh-Curtis syndrome疑い
としました。
Fitzhugh-Curtis syndromeは腹腔鏡しないと分からないと思いますので、あくまで「疑い症例」になりますが。
あまりSTDは経験がないので、とんでもない見落としがあればどなたかご指摘いただければ幸いです。

その場ではAZM 1g処方して、後日当院の産婦人科を受診してもらいました(夜間救急外来でしたので)。
本当は入院治療が良かったのかもしれませんが・・・。
本人と母親には
「不妊の原因になることもあるので、必ず産婦人科を受診してください」
「連れてくるのは大変だとは思いますが、パートナーの治療も必要なので一緒に受診してください」
と説明しました。

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というわけで、クラミジア感染症の症例でした。

本症例に関してはFitzhugh-Curtis syndromeかどうかは分かりませんので、ただの珍しくもないクラミジア感染症かもしれません(ちなみに本症例はプロフィールとか、設定とかを変更していますので、架空の症例ということでお願いします)。

女性のクラミジア感染症について、以下UpToDateのまとめです。
・STDで最も多い
・無症候の人が多いため、リザーバーになる
・新生児の垂直感染では結膜炎、肺炎を起こす
・これらの症候群はC. trachomatis serovars B, D~Kによる。
・鼠径リンパ肉芽腫はsevovars L による。
・アメリカでは年間400万人(!)がクラミジア感染症を起こす
・淋菌と比べて、亜急性に進行し長期間かけて合併症を起こす(淋菌の方が急性の経過を取りやすい)
・リスクファクター:思春期・若年者、不特定多数とのセックス、過去3ヶ月での複数の相手とのセックス、最近新しくできたセックスパートナー、避妊具を使ってない、子宮頚部転位、未婚、STDの既往、家が貧乏(すいません適当な訳が思いつかず・・・)、低学歴
・クラミジアによる子宮頸管炎はHIV感染のリスクになるという報告がいくつかある
・大部分が無症状だが、子宮頸管炎からPIDを起こすこともある。潜伏期は7-14日。
・子宮頸管炎:50%は無症状。帯下の増加、下腹部痛など。身体所見では膿性分泌物、子宮頚管の浮腫など。
・尿道炎:子宮頸管炎と一緒に起こることが多い。UTIの症状と類似。
・肝周囲炎(Fitzhugh-Curtis syndrome):PIDの症例の5-15%に起こる。右季肋部痛、胸膜痛が下部生殖器の感染と同時にみられたら疑う。肝酵素の上昇はみられない。
・PID:無治療だと30%の症例でPIDに進展する。淋菌感染症の方が急性の経過を取り、クラミジア感染症では不妊の原因になりやすい
・妊娠:クラミジア感染症は早期破水の原因となりうる。
・ 核酸増幅検査:PCR(polymerase chain reaction)、TMA(transcription-mediated amplification)、SDA(strand displacement amplification)の方法があるが、TMA法が感度・特異度ともに優れている。TMA法では、尿検体で感度93%、特異度99%であり、子宮頚 管分泌物検体では感度97%、特異度99%。
・治療:マクロライドかテトラサイクリンが第一選択。AZM 1 g PO as a single doseか、DOXY 100 mg PO BID for 7 daysが推奨されている(妊婦にはAZM)。治療効果に差はない。
・治療後のフォローはルーチンでは推奨されないが、「ずっと症状が続いている」「妊娠している」「服薬コンプライアンスが怪しい人」ではフォローする。偽陽性・偽陰性の可能性があるため治療完了後3週間経ってから。
・10-15%の症例で再燃がみられるが、抗菌薬への耐性との関連は証明されていない。今のところ抗菌薬に耐性を示すC. trachomatis株は見つかっていない。
・パートナーも治療をしましょう
・梅毒、淋菌、HBVの検査はしましょう
・HIVのカウンセリングと検査
・Safer sexのカウンセリング

UpToDate Online 18.3 Genital Chlamydia trachomatis infections in women(last updated: June 3, 2010)

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