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2011年10月23日 (日)

ぶどう膜炎と感染症

市立奈良病院の忽那です。

先日、「抗菌薬適正使用研究会」なる研究会が奈良ホテルで催されました。
私は昨年に引き続き、症例について診療の進め方やアセスメントのコメントをさせていただく「症例コメンテーター」という、おまえ何様やねん的なポストをいただきました。
前回のエントリーでも書きましたが、昨年は不相応な立派なポストにビビりすぎて、あまり良いコメントもできず、もちろん正解にも辿りつけず、良いところなく終わってしまいました。
参加者の皆さんからの「やっぱダメじゃん・・・つーかあいつ誰だよ」的な視線が痛かった1年前・・・。
その夜は寂しくて、ついつい田舎の母にも電話してしまいました。

そして昨日、リベンジのときがやってきました・・・。
今年こそはやってやるぜ!

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症例検討会は2例ありました。

1例目は7歳男児が腹痛・下痢・発熱でやってきて、発熱だけが遷延して・・・というケース。
な、7歳・・・?
うわーやばい・・・小児の感染症、全然分かんねえええええええええ!

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「くっ!小児感染症に関する知識が足りない!」

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「うわああああああああああ!」

ほぼ歯が立たず、あっさりゴールを決められてしまいました。
結局症例はリンパ節腫大を伴わず、ぶどう膜炎と発熱だけがみられた非典型的なCat Scratch Diseaseの症例でした。
そんなもん分かるかい!(冷静に考えたらそうでもないか・・・アセスメントが足りませんでした)
進行役の当ブログ管理人もしてやったりの表情。
そして意気消沈の忽那。

このままでは昨年の二の舞になってしまう・・・。
自分を奮い立たせなければ・・・。
2例目の前に進行役の管理人から意気込みを聞かれたので、会場に向かって猪木ばりのマイクパフォーマンスで「次は当てるぜ宣言」をして自分を追い込んだ忽那。
ヒートアップした会場からは忽那コールの嵐!(※一部誇大表現があります)
そして挑んだ2例目はANCA関連血管炎のためステロイド内服中に発熱した77歳の症例だったんですが、細胞性免疫不全というキーワードから絞り、見事にクリプトコッカス症の診断にたどり着きました。

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「よっしゃああああああああああああ!」

自分に酔いしれたひとときでした。
あのカッコいい姿を田舎の母に見せたかったなあ・・・。
母ちゃん、オレ、頑張ってるよ!

というわけで、なんとか今年は一矢報いることができました。
来年は2連勝できるように研鑽を磨きたいと思います。

しかし1例目のぶどう膜炎の症例には刃が立たなかったのが悔しいので、復習しておくことにしました。
ぶどう膜炎って感染症医にとって重要な眼科疾患だなあと改めて認識した次第です。
眼科の知識がほぼゼロなので、間違っていたらどなたかご指摘ください。
ちなみに自分が経験したことあるのはBehcet病、カンジダ眼内炎、結核性ぶどう膜炎、CMV網膜炎だけです。

■ぶどう膜炎とは
・ぶどう膜炎は眼内の炎症であり多くの原因によって起こる。ぶどう膜炎を示唆する症状があれば眼科医への紹介が必要である。
・ぶどう膜は眼の中間部に位置する。ぶどう膜という言葉はラテン語の「ブドウ」に由来しており、これはかつて解剖学者たちは眼球の外側の皮の下にはブドウのような構造が残ると考えていたためである。
・ぶどう膜の前部には虹彩と毛様体があり、後部には脈絡膜がある。
・前部ぶどう膜の炎症は前部ぶどう膜炎と呼ばれ、これは虹彩炎と同義である。隣接する毛様体にも炎症が及ぶと、虹彩毛様体炎という。
・水晶体よりも後方にある硝子体炎、中間部ぶどう膜炎、扁平部炎、脈絡膜炎、虹彩炎、脈絡網膜炎などを全てまとめてぶどう膜炎と呼ぶ。

■ぶどう膜炎の原因
・ぶどう膜炎は、眼の炎症部位、発症様式、対称性、炎症の持続性、合併症の有無、角膜内皮細胞の分布(角膜後面沈着物)などによって区別される。角膜後面沈着物の大きさや分布は鑑別診断に役立つ。角膜後面沈着物の多様な所見は特に共焦点顕微鏡法を用いた拡大画像での評価が優れる。
・ぶどう膜炎は大きく4つの原因に分けられる。
  1)感染症
  2)全身性免疫疾患
  3)眼内病変のみ
  4)仮面症候群
・アメリカの眼科医は年に平均10例のぶどう膜炎を診ている。
・解剖学的には前部ぶどう膜炎が多く、3次医療機関ではぶどう膜炎の50〜60%、プライマリケア医では90%を占める。
・ぶどう膜炎の原因が判明するのは半分にすぎない。
・ぶどう膜炎の所見が全身疾患の診断のための最初の手がかりとなることがある。前部ぶどう膜炎の原因疾患として、HLA-B27とその関連の血清反応陰性脊椎関節炎が西欧諸国では最も多い。
・ぶどう膜炎はどの年齢でも起こり性差はない。ある研究ではぶどう膜炎患者の平均年令は45歳であった(Am J Ophthalmol  1996; 121:35-46.)。
・遺伝的素因はぶどう膜炎の発症に寄与している。急性前部ぶどう膜炎を起こした76組の兄弟の全ゲノムスキャンを行い証明された(Arthritis Rheum. 2005;52(1):269.)。この研究では、ぶどう膜炎と9番染色体の遺伝子座との明らかな関連が認められた。また強直性脊椎炎に罹患しやすい家系の大部分がぶどう膜炎の発症にHLA-B遺伝子座が関連していた。

■ぶどう膜炎の分類・症状・臨床所見・病原微生物
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■感染症によるぶどう膜炎
・ぶどう膜炎の感染性の原因には細菌感染症、スピロヘータ疾患、ウィルス感染症、真菌感染症、寄生虫疾患がある。これらの感染症は一般的に臨床像が異なり、また患者層も異なる。
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・新生児のぶどう膜炎・網膜炎のほとんどは先天性感染によるものである。トキソプラズマ、風疹、サイトメガロウイルス、ヘルペスウイルスなどのTORCH症候群の病原微生物はぶどう膜・網膜に病変が及ぶ。
・免疫抑制患者のうち、ぶどう膜炎・網膜炎がみられるのはほとんどがAIDS患者である。しかし、血流感染による真菌性眼内炎は、その他のタイプの免疫不全でも起こりうる。
・成人のCMV網膜炎はほぼ免疫抑制患者、特にCD4数が極めて低下したHIV感染症にみられる。CMV網膜炎は先進国のAIDS患者では多いが、途上国のAIDS患者では少ない。
・トキソプラズマ症は健常者のぶどう膜炎の原因として意外に多い。多くの症例が潜伏感染の再活性化と考えられている。脈絡網膜に炎症がみられる場合に疑われ、血清学的検査は補助診断として用いられる。アメリカでは血清学的にトキソプラズマ症の既往があるのはごく普通のことである(Am J Ophthalmol. 1990;109(4):407.)。ほとんどのトキソプラズマ症による脈絡網膜瘢痕は妊娠中の感染によるが、最近の感染による瘢痕化と思われる症例が増加している(Ophthalmology. 2002;109(5):869.)。
・梅毒は多くの研究でぶどう膜炎の原因の1%以下の頻度である。脈絡網膜炎や網膜血管炎のような後部ぶどう膜炎など様々な形態を取ることがある(Surv Ophthalmol. 1992;37(3):203.)。
・結核はアメリカではぶどう膜炎の原因としては稀である。ステロイド治療を行なってもぶどう膜炎が増悪する場合は鑑別診断として考慮すべきである。また、眼病変以外に活動性結核がある場合、羸痩、ホームレス、眼病変が肉芽様である場合、免疫抑制患者でも結核性ぶどう膜炎を疑う。サウジアラビアのような地域では結核はぶどう膜炎の原因として一般的である。
・猫ひっかき病(CSD)はぶどう膜炎の原因として増加している。CSDによるぶどう膜炎は様々な形態を取り、星芒状黄斑と視神経浮腫が特に特徴的である(Ophthalmology. 2000;107(5):871.)。
・ウエストナイル熱も網膜血管炎に関連した脈絡網膜炎を起こす。ウエストナイル熱ではぶどう膜炎はよくある所見だが、無症候性のこともある。
・HSVもHZVも前部を中心に角膜とぶどう膜炎に炎症が起きる角膜ぶどう膜炎を呈することがある。皮膚の水泡、特徴的な角膜の変化、角膜の感覚低下、眼圧上昇、虹彩の萎縮が診断の手がかりとなる。HSVとHZVどちらも急性網膜壊死として知られる網膜炎を起こすこともある。
・HTLV-1によるぶどう膜炎は日本でよくみられる。

■全身疾患に伴うぶどう膜炎
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■参考文献
1)テクモ: キャプテン翼. FAMILY COMPUTER; 1988
2)Mandell: Mandell, Douglas, and Bennett's Principles and Practice of Infectious Diseases, 7th ed. Chapter 113 - Infectious Causes of Uveitis.
3)UpToDate 19.2 Uveitis: Etiology; clinical manifestations; and diagnosis
4)Cohen & Powderly: Infectious Diseases, 3rd ed.Chapter 17 - Infectious retinitis and uveitis

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コメント

森崎くんは三角飛びしません
あと、画像はキャプつば2だと思います

専門家からの鋭いご指摘ありがとうございます。
三角飛びは若島津くんですよね。
画面も「キャプつば2」ですね。おっしゃるとおりです。

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