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2011年4月25日 (月)

咽頭炎のグラム染色

皆さんこんばんは。
グラム染色道場白帯手前の忽那です。

0328137_2

先日、感染症学会で会った際に当ブログ管理人に「熱すぎるのでとにかく読め!」と勧められた『感染症ケースファイル』。
現在大阪医療センターにいらっしゃる谷口智宏先生の著作です。
さっそく読んでみたんですが、これは本当に素晴らしい名著ですね・・・。
特に研修医の教育に最適な教科書ではないかと思います。
個人的にはA群β溶連菌による咽頭炎でグラム染色をされていたのが目からウロコでした。そういえば咽頭炎でグラム染色はやったことがなかったなあと。

というわけで、ちょうど先週末の当直のときにA群β溶連菌の急性咽頭炎の患者さんが来られたので、さっそく僕もグラム染色してみました。

31歳の女性、昨晩からの咽頭痛と38℃台の発熱を主訴に受診。
咳はなし。
右の頸部リンパ節腫脹あり。
扁桃腫大と白苔の付着あり。

centor criteriaでもカナダ式でもA群β溶連菌の咽頭炎で良さそうだったので抗菌薬だけでもいいのかなと思ったんですが、一応迅速抗原検査をやっちゃいました。

Photo

キターーーーーーー!
予想通り陽性!
まあそもそも検査するまでもないと言われればそれまでなんですが。
自分へのフィードバックのためということで。

ということは、迅速検査のときに一緒に採取してあった扁桃滲出物のスワブをグラム染色してみると、連鎖球菌がきっと見えるはず。

Photo_3

うーん。なんか微妙・・・あまり連鎖してないような・・・。
でも形は丸というよりは楕円なのでブドウ球菌ではないような・・・。
きっとA群β溶連菌・・・でいいんですよね・・・?


参考文献 (Centor Criteriaとカナダ式)
1)The diagnosis of strep throat in adults in the emergency room.Med Decis Making. 1981;1(3):239-46.
2)A clinical score to reduce unnecessary antibiotic use in patients with sore throat. CMAJ. 1998 Jan 13;158(1):75-83.

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コメント

白帯先生へ

コメントみたので返信します。
さて、咽頭炎のグラム染色ですがいくつかの研究者によると感度・特異度・PPVは培養と比較しても低い値になっています。

例えば・・・
培養:感度73%、特異度96%、PPV71%
グラム:感度45%、特異度83%、PPV23%
(Ann Intern Med 1979,90,293-297)
です。

培養検査は迅速検査に比べやや最小検出感度が良いものですので、外来管理するには有用な検査になります。

さて、結局このグラム染色の値を見て培養まで出来て、医師が迅速検査も普通に出来る日本においてどれだけの価値があるのでしょうか?それは検査者しか理解出来ないものだと思います。いち早く検出したいのであればグラム染色も考慮するでしょうが、常在菌が多数居る咽頭粘液においてグラム染色を実施する費用対効果は非常に低いと考えますので、一般的には必要は無いと思います。うちの道場でも日常的に「あ、これ溶連菌だよな」というものは転がっています。また迅速検査ですがA群しか引っかからないので小児は良いですが大人はG群も多く、培養かなと思います。

ASMの場合、咽頭のグラム染色は行わないので学会報告すると直ぐリジェクトされると思います。あくまで1つの事例として考えてください。

季節柄、この時期に溶連菌かな?と思い培養と一致させると当たったなんてこともありますよね。季節変動のあるものですし、家族内感染も起こしますし、患者情報を整理し症状を見る方がよっぽど有用性が高いと思いますよ。
辛口ですいません。

師範!
辛口ッス!
マジぱねえッス!
でも勉強になるッス!

でも保険だと培養検査か迅速検査のどちらかしか通らないようですし、問診や身体所見で淋菌性咽頭炎か溶連菌咽頭炎か判断ができない場合は培養検査に頼らざるを得ないこともあると思います。
その場合に、培養の結果が出るまでの抗菌薬の選択の材料としてグラム染色をするのはアリではないかと思うんですが。
どうですか師範!

まあ普段からルーチンでするべきものではないとは思いますが。
興味本位でやってみました。

ちなみにこのグラム染色の写真は連鎖球菌でいいんですか?

白帯手前さま

トラックバックのコメントですがハッテン場が未だ引きずっているようで興味深いブログです。

さて、冗談はこれくらいにして・・・
すいません。グラム染色の読み忘れていました。溶連菌ですが厳密に言うと毒性の高いA群やG群、C群の事を指す言葉に代わってきましたね。B群の場合はベースに何か無ければ発症はしませんので日常的に問題になるのは産道感染位でしょうか?(これも発生率が低い?)。このスメアですが溶連菌で問題無いと思います。単一に見えるもの(ブドウ球菌じゃ無い)、球状で楕円になっていないもの(肺炎球菌じゃ無い)、散在している(膿などから出やすい)ことを考えた場合、咽頭なので溶連菌と辿りつく可能性が高いです。ただし、提出医は現場で「ああ、急性扁桃腺炎ですね」という症状を見ているから余計その確信は高くなるのでは無いでしょうかね。溶連菌が皮膚軟部組織から出てきた場合はこのように見えますよ。例えば皮膚の水泡内容物からこのようなスメアが見えた場合は肺炎球菌と思う訳も無く、直ぐさま溶連菌ね ということになるのでしょう。ブドウ球菌の場合はほ本当に集塊作るのでわかりますよ。

淋菌性咽頭炎のことが出ましたのでコメントを。淋菌性咽頭炎かどうか咽頭スメアで判断するのは出来ません。非病原性ナイセリアとの鑑別も出来ませんし、髄膜炎菌との鑑別も出来ないからです。ASMのマニュアルでは淋菌を疑う場合は検査室にその都度注文を付けて下さいとのこと。淋菌が出そうな患者をターゲットに目的菌として付けて下さいということです。淋菌を標的にする場合サイアマーチンのような特殊培地が必要になりますので。

小児ではインフルエンザ菌も咽頭炎を起こしますので年齢要素など重要になりますね。

淋菌の成人咽頭保菌率が10-30%あるのですが、下に症状の無い保菌者ってどれくらいいるんでしょうかね?男性の場合は殆ど症状あるのでしょう(と勝手に思いました)。淋菌の場合はセックスパートナーなどの聞き取りや除菌、CSWとの接触なども聞き取ると思いますが、救急で熱出して来て、喉が腫れていて経口セフェムを処方して帰る妥当性を考えた場合、培養無しで返す危険性の方が問題で、培養は必ず採取するなどの基本的なアプローチが必要にはなりませんでしょうか?

お金ですが、咽頭培養をすると迅速も採れません(おっしゃる通り)ですが、淋菌目的の遺伝子検査も採れません。コストを考慮すると典型的な所見から推定されるコモンな菌に対するアプローチをして外れたら次という形になるのでしょうね。ちなみに咽頭からの淋菌のPCRですが髄膜炎菌も引っ掛けるので方法なども区別する必要があるでしょうね。そういった教育は感染症医の間では当たり前でしょうが。

Coco一番の3辛位になりました。ちなみに本日はインドカレー屋のカレーを食べました。辛口が嫌いな私にとっては大量の水と同時に含むしかありませんでした。

長くてすいません。

わざとちょっとずれたコメントをします。

「アトラスさくま小児咽頭所見」という本をご存じでしょうか。

咽頭視診所見から病原体を診断する、というガイジンから見たら「何いってんのあんた」という理解できないだろう本ですが、むしろ翻訳して世界中に配信すべき本です。すごい本です。アツイ本です。アツイなんていったら失礼なくらいな本です。ちなみに上記の「感染症ケースファイル」も哲学的に同じものを感じます。

咽頭のグラム染色を一般的に推奨するのはどうかと思いますが、忽那先生のようにその道を極めた人が、「咽頭のグラム染色がどうなっているのか見てみたい!」と思って調べるのはごく自然なことだと思います。
そうしてまた新しい知見が得られていくのだと思います。

頑張ってください。

※そういう私は自分のニキビをつぶしてグラム染色したことがあります。

その道を極めた・・・。
仏像の道のことでしょうか。
管理人先生にいただいた文献も読んでみます。

「アトラスさくま小児咽頭所見」は、小児科医の友人が教えてくれたのですが小児科の開業医の先生が書かれた、その業界では有名な本だそうですね。
今度友人に見せてもらいます。

えっ!持ってないの?

「管理人先生のものは忽那のもの」というジャイアン的な視野の広さで世界を俯瞰した場合は、持っていると言えなくもないかもしれません。


いや、正直持ってないです。
100冊注文しました。

忽那先生へ
初めまして。感染症ケースファイル著者の谷口です。日本で初めて回帰熱を診断治療された先生にブログで紹介いただき光栄です(本の名前でgoogleしていたら、このページにたどり着きました)。
先生の咽頭炎のグラム染色は、僕の本の咽頭炎のグラム染色とそっくりだと思いました。たしかに連鎖はあまりしていませんが、咽頭(扁桃)はリンパ組織なので並みの細菌では増えることはできず、A群溶連菌のような強者に限りここまで増えることができるのかなと。それでも扁桃のようなわずか数cm程度の狭い場所で、白血球と血みどろの戦いを繰り広げるので、A群溶連菌でさえも連鎖している暇はない(連鎖する前に白血球に食べられる?)のかなと想像します。
本にも載せたA群溶連菌による扁桃周囲膿瘍のグラム染色では、きれいに連鎖していました。これはA群溶連菌の方が白血球よりも優勢となって増殖しやすい環境になったため、連鎖できるようになったのかなと勝手に考えています。
以上、n数は極めて少ない僕の経験basedですので、間違っているかもしれません。

谷口智宏先生

コメントありがとうございます。
著者の先生からコメントいただけるとは・・・こちらこそ光栄です。
僕も実は「グラム染色はあまり連鎖してないけど、この本のグラム染色の写真と似てるのでまあA群溶連菌なんだろう」と思っていました。
先日の感染症学会で沖縄県立中部病院の椎木先生のお話を聞く機会があり、谷口先生のお話も伺ったのですが、先生の臨床に対する姿勢について僕も見習いたいと思いました。

奈良と大阪は近いので、どこかでお会いできることもあるかと思います(先日も関西HIV臨床カンファレンスで大阪医療センターに行きました)。
いつかぜひ直接お会いしてお話できれば幸いです。

谷口先生、白帯手前先生 辛口師範手前です。
扁桃炎じゃ無く扁桃周囲膿瘍ですか。それはグラム染色をする価値は高いと思います。α連鎖球菌と溶連菌は区別できるでしょうし、染色所見見ることで膿瘍の程度、状態を見ることが可能と感じます。菌以外の要素を確認する上で染色は大事です。
菌の連鎖ですが、膿瘍内なら短連鎖で見えますよね。それも溶連菌の特徴です。こう言うディスカッションは本当に為になります。
ところでうちに居た○寺先生が大阪医療センターへ行きました。HIVしたいとのことで。お二人とも宜しく優しくしてあげて下さい。

忽那先生、師範手前先生(山○先生ですよね?)へ
お二人ともコメントありがとうございます。グラム染色は奥が深く、僕もまだまだ知らないこと、気付いていないことが多いと感じています。いつか日本中のグラム染色好きが集結して、グラム染色トークをしたら楽しいでしょうねhappy01
実は僕は4月から、熱帯医学を勉強するため長崎大学に来ています。1年後には臨床に戻るつもりですが。また学会などでお会いできればいいですね。

谷口先生

コメントすいません。山○先生です。
グラム染色トークは素晴らしいです。一度オフ会をしたいなあと思いtwitterで開催通知を送ると何人参加するのかやりたいくらいです。また色々と教えて下さい。

白帯先生
感染症にちなんだ、ためになる面白いトークを教えて下さい。

元管理人さま
元ではありませんので記事待っています。スマートにしゃべれる話術を教えて下さい。

同じく溶連菌キットで陽性であったケースのグラム染色をしたところ、連鎖状の菌は認めなかった。きっと、溶連菌は常在細菌ですので、菌抗原が残存していても陽性反応が出るのではないかと思っています。さくまのアトラスの通り、溶連菌を強く疑ったが。鼻咽頭のグラム染色を初めて2か月目です14件/月に行いました。開業小児科医です。

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