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2011年4月26日 (火)

咽頭炎のグラム染色②

丁稚の忽那です。
当ブログ管理人から咽頭炎のグラム染色に関する文献が無言で送られてきたのですが、おそらく「読んでレビューしろ、そしてそれをブログに書け」ということだと思いますので、素直に読んでみました。
「自分で仕事をするのではなく、誰かにやらせる」という経営者的なこの姿勢、私も見習いたいと思います(というのはもちろん冗談で、単に親切心で文献を教えていただいただけです)。
どちらも古い文献で、迅速抗原検査がない時代のものですので、その辺をご勘案いただきながらお読みください。

Streptococcal pharyngitis: diagnosis by gram stain.
Ann Intern Med. 1979 Mar;90(3):293-7.
PMID:85421

1976年9月から1977年2月の間にシアトルPublic Health Service病院を受診した患者のうち、咽頭炎でグラム染色と培養検査を施行した472人(平均年齢17.6歳)のうち49人(10.4%)からA群β溶連菌を検出。
単体あるいはペアで存在することが多いというA群β溶連菌の特徴から、他の陽性球菌と区别された(例えば肺炎球菌はもっと細長く、時に莢膜に覆われているなど)。
多核白血球とともに典型的なグラム陽性球菌が認められれば陽性と診断。
培養陽性をゴールドスタンダードとしてグラム染色の感度は73%、特異度は96%であった。
観察者の経験でかなり差があり、最も成績が悪かった者は感度57%特異度94%であったが、最も成績が良かった者は感度92%特異度96%であった。

001

観察者の経験で感度特異度に差がある・・・当たり前といえば当たり前ですが。
これはつまり白帯手前の僕が鏡検しても感度50%以下だけども、グラム染色道場師範が鏡検すれば感度90%以上、特異度も100%に近くなるということではないでしょうか。
市立奈良病院が採用しているA群β溶連菌の迅速抗原検査キット『ストレップA』は感度97.6%特異度98.4%だそうですが、熟練した人が鏡検すればグラム染色は迅速抗原検査とほぼ同等の精度が得られる、と。
つまり保険適応内で迅速検査も培養もできることになる、と。
グラム染色パねえっす!
ただし忽那の目は完全に節穴なので、とりあえずは趣味の範囲で行いたいと思います。
まあ経験豊かな微生物検査技師がどの病院にもいるわけではないので、現実的には迅速抗原検査が良いのでしょう。

あと、A群β溶連菌のグラム染色の所見は、連鎖してないことが多く単体のことがあるという事実は初めて知りましたが、前回掲載したグラム染色所見とも合うように思います。
あーよかった。

もう一つ読んだ方もだいたい同じ内容でした。

Streptococcal pharyngitis-rapid diagnosis by Gram stain.
Postgrad Med J. 1981 Jan;57(663):13-5.
PMID:7024964

519人のうち51人(9.8%)からA群β溶連菌を検出。
培養陽性をゴールドスタンダードとして、グラム染色は感度70%特異度89%であった。

しかし、古い文献ってアブストがすごく短いので、本文を読まないと何をやってるのか全然分かりませんね。

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コメント

この文献わざわざ図書館まで行って自腹で(30円)コピーしたんだよ!

今度チロルチョコを奢りますのでそれで勘弁して下さい。

もと管理人さま

すいません。申し訳ありません。
こちらはセコイアチョコレートを奢ります。しかも苺味も添えますので許してください。

白帯手前さま
本気で咽頭のグラム染色を見た事が無いので何とも言えませんし、本気で見ようとは思いません。すいません。培養陽性例で考えた場合、7割ってことはありませんわ。恐らく8割は当たると思います。血液培養陽性例では未だに100%の感度と特異度を保持しております。これだけは譲れません。

肺炎球菌は何故ニコニコで、A群は何故レンサが長く、ブ菌は何故クラスターなのか。
だれかそれくらい機序を調べてるよね。
もう100年も前から分かってることだもんね。
pubmedとかで検索したら、それくらい誰か実験して調べてるよね。
きっと表面蛋白とかの問題なんだよね。
その遺伝子をノックアウトしたらブドウ球菌でもクラスターを形成しなくなったりするんだよね。
そうだよね、忽那先生?
※私は当直明けなので、今からトミカ博に行ってまいります。

管理人先生

くつなです。
昔、パーマンという藤子不二雄のアニメがありました。
パーマンは四人いて、四人が手を繋いでパータッチすると飛ぶスピードが4倍になつりました。
連鎖球菌の原理もあれと同じではないでしょうか。
そう思いpubmedで「パータッチ」「連鎖球菌」で検索しましたが、文献は引っかかりませんでした。
この分野の研究はまだ行われていないようです。

以上、ご報告申し上げます。

もと管理人先生、白帯手前先生

個人的にスメアを見ていて勝手に思ってることを言っても良いでしょうか。ダメと言われても書いてしまったので無理でしょうが。

肺炎球菌ですが二個になる間に何があるのかです。この二個は2つの細胞が重なって出来ています。ただ、隔壁はPBP2Aが関与していることはわかっております。細胞壁構造で最も重要なのはPBP1A(細胞壁の合成がメイン)ですが、2Bは細胞壁を安定させる作用として注目されているようで、この隔壁部分が弱いと容易に溶菌されてしまうので肺炎球菌の生存に重要なのでしょう。これがあるために生存出来る安定な形としてニコニコで見えるんじゃ無いか?と思っています。連鎖長いやつも普通にありますしね。参考は改訂ペニシリン耐性肺炎球菌

一方、溶連菌の長いのは単純に発育増殖が良い過程において毒素の産生も多いため細胞間にある蛋白や細胞壁の構造により引っ付いてしまうんでは無いでしょうか?菌として1つの方がより病原性は高く保持出来るはずですしね。こんあ論文があります。溶連菌のフィブロネクチンの研究で菌体間にキレイに蛋白が見えているではないですか。グラム染色でもキレイに見える溶連菌(GBSは除く)は菌周囲が紅く見えるので毒素だろうと勝手に思っています。参考はThe Journal of infectioous disease,2005,192,2081-2091.

菌がくっつくのは単純に扁平上皮が何故くっついて剥がれて見えるのかを応用しているだけですがね。

ところで検索フレーズランキングに感染症ネタがまた少なくなってきましたね。女とかハッテンとか。GW初日ですが仕事で帰れません。悲しいです。

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