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2011年1月18日 (火)

インフルエンザ肺炎

居候ライターの忽那です。

昨日、インフルエンザ肺炎の症例を経験しました。
当院のベッドが満床のため(本当ですよ!)結局某病院に搬送させていただきましたが、インフルエンザによる肺炎なのか、細菌による二次性肺炎なのか悩みました。

喫煙家で高血圧、糖尿病のある40代男性が2日前からの発熱があり、当日発熱と呼吸苦を主訴に救急車で来院されました。
インフルエンザ迅速検査はA陽性。
胸部レントゲン検査では肺炎像を認めました。
呼吸状態もかなり悪かったので、挿管してから喀痰を採取しグラム染色を行いました。

Gs

グラム染色で活きの良い白血球とフィブリンは見えるのに菌は全く見えないならウィルス性肺炎、ということでいいのではないかと考えたのですがいかがでしょうか。
あとはこの患者さんは肺炎の発症時期が早いということも、ウィルス性を示唆する所見ではないかと。
というわけで、グラム染色や発症時期でウィルス性か細菌性かを区別できないかと思って調べてみました。
例によって、電子指導医のUpToDate先生に教えていただきました。

■インフルエンザの肺炎まとめ(UpToDateより)
インフルエンザの合併症として肺炎は注意すべき合併症であり、特に心血管・呼吸器疾患、糖尿病、腎疾患、異常ヘモグロビン症、免疫不全のある患者、老人施設入居者、高齢者でよくみられる。
インフルエンザ患者の肺炎としてみられるのは、原発性のウィルス性肺炎と二次性の細菌性肺炎、あるいはその混合性肺炎である。

Primary influenza pneumonia — インフルエンザウィルスによって直接的に肺に病変を生じるもので、重症化することが多い。急性期のインフルエンザ症状が遷延し増悪する場合は原発性インフルエンザ肺炎の合併を疑う。高熱、呼吸苦、ときにチアノーゼもみられる。
原発性インフルエンザ肺炎はインフルエンザの合併症として稀ではあるが、最も重篤なものである。左房圧の上昇している患者に多くみられる傾向があり、また慢性呼吸器疾患患者でもよくみられるが、健康成人では稀である。

Secondary bacterial pneumonia — 二次性肺炎はインフルエンザ関連死亡の25%を占める合併症である。

インフルエンザウィルスが気管気管支上皮を障害し、繊毛の活動性を阻害する。マウスモデルではインフルエンザウィルスと肺炎球菌の相乗作用がみられ、ノイラミニダーゼの濃度が肺炎球菌の上皮への接着・浸潤の増強と相関していた。これによってインフルエンザ後に細菌性肺炎が起こりやすくなるのかもしれない。

病原菌で最も多いのは肺炎球菌であり48%を占めたという報告がある。黄色ブドウ球菌は市中肺炎の起炎菌としては稀だが、インフルエンザ後の二次性肺炎としては二番目に多く19%を占め、その他インフルエンザ桿菌も起こる。これらの病原体について、インフルエンザが流行した年と流行しなかった年で比較すると、流行した年では黄色ブドウ球菌による二次性肺炎が増加していたという(19% vs 6%)。CA-MRSAによる二次性肺炎もインフルエンザ後の重症肺炎として死亡率が高い。

二次性肺炎を診断するひとつのポイントは、急性期のインフルエンザの症状が改善してきた後に、発熱と呼吸器症状が増悪してくる点にある。発熱は普通急性期症状の出現から2、3日後には軽減するが、二次性肺炎を合併した場合には高熱と咳・痰が再燃し、胸部レントゲンで肺炎像が出現する。

ウィルス性と細菌性の混合性肺 — ウィルス性と細菌性の両方の特徴を持つことも多い。これらのケースでは、患者は症状が徐々に増悪していくか、短期間の改善をみるがすぐに増悪する。喀痰中にはウィルスも細菌も存在する。

(UpToDate 18.3 Clinical manifestations and diagnosis of seasonal influenza in adults)

これは季節性インフルエンザについてのものなので、H1N1pdmについては当てはまらないかもしれません。
しかし、ウィルス性肺炎の場合はインフルエンザ早期から肺炎となり、二次性細菌性肺炎は一旦症状が改善してきた後に発熱と呼吸器症状が再燃してくる、というのは一つのポイントと考えてよさそうです。
グラム染色については記述がありませんでしたが、これも両者の鑑別にけっこう有用なのではないでしょうか。当たり前ですが。

毎回思うんですが、僕のエントリーって毎回文章が長すぎる傾向にありますね。ひょっとして僕はヒマなのでしょうか。

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コメント

コメント無いので入れますね。

ウイルス性肺炎の鑑別をグラム染色で・・というのは少し無理があると思ってます。
理由は「そもそも市中感染で起炎菌を推測するために使うものなので」。しかも菌量が多くないと見えない性格もあります。

なので、このスメアは「見えない」で良いんですよ。見えない=肺炎球菌は黄色ブドウ球菌のような二次性肺炎を起こしている菌が居ないという推測が可能だからです。それで十分じゃないですか?

OVER diagnosisとして結核菌が出てくれば拾い物かも知れませんが、心配症であればこの状況では抗酸菌塗抹を追加する位でしょう。

像の解釈としては
①有意な菌を認めない
②多核白血球が少数見え感染症を示唆する
③粘性を伴う、線状の物質があり粘液産生量が多くなるような疾患が背景にある。当然気管支肺炎も範疇に入ってきます。

という風に当院では報告しているでしょう。

ご参考に。しかし先生はいつも熱心ですね。本当に関心するバカリです。脱帽!!

先日この内容と同じ症例で兄弟を亡くしました。
インフルエンザ肺炎は治療しても治らないのでしょうか?
最初の病院では点滴しかされてないようでした
3日後、多臓器不全になって、別の病院へ搬送されましたがすでに手遅れになりました

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