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2010年12月31日 (金)

年越し症例検討会

市立奈良病院の忽那です。
当直明けで雪の中高速道路を運転し、妻の実家である山口まで帰ってきました。
実家では年の締めくくりとして毎年紅白歌合戦を見ることが恒例となっており、現在も親戚一同で紅白歌合戦を熱く観戦しております。
僕としては、前野健太とか曽我部恵一とかくるりとかが好きなのですが、そういうヒトたちは全く出ておらず、知らないヒトばかり出ているので、ちょっと疎外感を感じていますが、なにぶん妻の実家ですので「すいません、ダウンタウンをみたいんですけど」とは言えない状況です。
というわけで、年越し症例検討会として先日経験した症例を呈示したいと思います(個人情報保護のためいくつかの事項を変更しています)。
年末年始にお時間のある方はお相手いただければ幸いです。

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15歳女性。
右側胸部痛(第7肋間中腋窩線上)と38℃台の発熱を主訴に受診。
3日前から右側胸部痛と発熱が出現したが放置していた。
疼痛が増悪し、我慢できなくなったため当院救急外来を受診。
既往歴は特記事項なし。
アレルギーなし。
体型は痩せている。
中学生。
海外渡航歴なし。

痛みについて
1. 3日前から
2. 場所:右側胸部痛(第7肋間中腋窩線上)
3. 突然ではなく徐々に痛くなってきた、どんどん痛みは強くなってきている
4. 深呼吸や咳をすると痛くなる。鼻をすするだけでも痛い
5. 下腹部もはじめは痛かったけど、今は痛くない
6. 痛くて寝れない
7. 人生で最大の痛みを10とすると9くらい
8. 痛みの感じはピリピリというより鈍い痛み

バイタルサインはBT38.0℃でPR72bpmであり比較的徐脈。
血圧105/70mmHg、RR 14/min、SpO2 98%であった。
胸部聴診上は異常所見なし。声音振盪も左右差なし。
疼痛の部位に皮疹なし。
胸部X線を撮影したが、特に異常所見を認めなかった。

追加で取るべき問診事項や身体所見は?
鑑別診断は?

2010年12月30日 (木)

日本人の「質の保証」に対する依存

グラム染色、モラクセラだったんですね。
ぱっとみてブドウ球菌と思っていたので、コメントを書き込まなくて正解でした。

さて、このエントリーや、最近の経験からふと気づいたことがありました。
概して日本人は "quality control" という作業に甘い傾向があるように思います。
要は「質のコントロール」ということですが、要するに例えば普段ルーチンでやっていることでも positive control と negative control を用意して、試薬やその他もろもろの「正常で当たり前と思っている前提条件」がその通り正常に動いているかどうかを確認する作業です。

研究室のようなところでグラム染色をやっていると、時々長い間グラム染色が行われていない時に、試薬がダメになっていることがあります。クツナ先生のケースは染め直してOKでしたが、そういった場合は、例えば何回染めてもグラム陰性桿菌がグラム陽性にみえてしまう(例えばアセトンがダメになっている場合など)、ということが起こりえます。そのような場合に備えて、例えば1週間に1回、グラム陽性球菌と陰性桿菌を染めて、ちゃんと染まるかどうか確認し、試薬がOKであることや手順に問題がないこと、過程にコンタミが起こっていないことを確認します。

昨年アメリカにいましたが、概して日本人はこのquality controlをしない、そしてアメリカ人はちゃんとする、そういう傾向にあるように思います。

この理由の一つに、「アメリカでは本当に試薬その他がダメなことが多い」ということがあるように思います(確かめてませんが、経験的にもそのように思います)。日本人は「まさか培地がダメだったなんて!」みたいな感覚が強いですね。多分これだけではありませんが、この因子は大きいと思います。これは日常生活でも、アメリカでは賞味期限が切れた食品が普通に売られていたり、穴の開いた服が売られていたり、「自分がしっかりしていないと」エライめに会うことがあります。日本では何か問題が起こったときに、まずは自分の作業のどこかに非があったのではないか、と考え、まさかモノが出荷される時点で問題があったとは考えないですよね。

ということで、皆さんも、是非定期的に自分が行っておられる業務に quality control の作業を導入されるといいと思います。新たな感受性パネルをメーカーが持ってきたからといって、ホイホイとそれで検査して、その結果を鵜呑みにするようなことは是非避けて頂きたいと思います。ちゃんと標準菌株や以前の菌株などを pilot study として従来のパネルとMICにどのくらいの差があるか確認し、自施設でのデータ、傾向を把握してから採用してください。

グラム染色もそうです。患者さんのアウトカムに直接つながる重要な検査ですから、「あいつがやってるんだったら俺もやってみよ」というような軽々しい態度で始めるのは禁物ですよ。


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