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2010年11月27日 (土)

感染症センター忘年会

去る11月20日、大阪は上本町で、感染症センターの壮大な忘年会が開催されました。
こちらがその時の写真:
Dsc_0002_2
ゲストライターくつなの独壇場ですな。
三笠教授は、来年度にはまだ数名入局者が欲しい、といっています。
はたして追い込み入局者は来てくれるか??

2010年11月25日 (木)

本当に帰ってきた ID CONFERENCE 肺炎と皮疹②

市立奈良病院のくつなです。

さて、皆様。
前回の「肺炎と皮疹①」における当ブログ管理人のコメントを読まれましたでしょうか。
この症例がマイコプラズマ肺炎で あること、皮疹はマイコプラズマ肺炎に合併したものであり、おそらく薬疹ではないということ、それだけではなく僕が書いた皮疹の所見 「erythematous maculopapular」がUpToDateからコピペしたものであることまでコメントしており、僕は完全に赤っ恥をかきました。
僕、今、顔が真っ赤です。
これがウワサの奈良医大感染症センター名物の後輩イビリでしょうか。
まったくもって恐ろしいところです。
奈良医大感染症センターでは入局員を絶賛大募集しています。
どうぞよろしくお願いいたします。
おまけにグラム染色道場師範先生からの「こんなもんワイの町神戸にはゴロゴロいてるで〜」発言も加わり、もはや症例報告することすら恥ずかしくなってきました(冗談です☆)。
2回目の本エントリーでは血液検査と画像検査まで出して、3回目で治療経過、4回目で総括と考えていたんですが、皆さんが「どうせマイコプラズマ肺炎でしょ」と思いながら読んでいる中で延々と「さあさあ、何の感染症でしょ〜?分かるかな〜?」と白々しく引っ張り続けるほどの度胸は持ちあわせておらず、早急にまとめていこうと思います。
皆様、もはやマイコプラズマ肺炎とは分かっているとは思いますが、どうか寛大な心で「うーん、なにかな〜なにかな〜」と頭をからっぽにしてもう一度無垢な心で症例を検討していただければ幸いです。
あるいは実はマイコプラズマ肺炎ではなかったというドンデン返しが待っているかもしれませんよ!

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身体所見を取ったオレは、とりあえずレントゲンを撮ってみることにした。
開業医の先生を疑うわけではないが、聴診所見が全然ないので、もしかしたら「なんちゃって肺炎」なのではないかと思っていたのだが・・・。

00000001_2

・・・。
肺炎でしょう、コレは。
僕にも分かります。
これは肺炎です。

というわけで痰を取ってもらいグラム染色してみた。菌は見えないが白血球だけがけっこうたくさん見える。
扁平上皮もいないし、まあ検体としては問題なさそうだ。
だとすると、これは抗菌薬が入ってるから菌がいないだけなのか、非定型肺炎だからなのか・・・ちょっと判断できないなあ・・・。

次に、さらなるヒントを求めて採血と尿検査をすることにした。

AST 324, ALT 294
CRP 5.25, WBC 7400, Neut 74%
肺炎球菌尿中抗原;陰性
レジオネラ尿中抗原;陰性
その他正常

肝機能障害があるなあ・・・抗菌薬の副作用?
あとはまあパッとしない感じですが。

この症例のこれまでのProblem Listとしては

# 右肺炎
# 皮疹(発熱から7日目、TFLZ開始から4日目、CDTR-PI開始から2日目に出現)
# 肝機能障害
# UCと甲状腺機能亢進症の既往(今は無治療)
# 結核ハイリスク地域の居住歴

という感じでしょうか。
A-DROPやCURB65を持ち出すまでもなく、入院させるほどの重症肺炎ではないけども、皮疹も出てて本人も心配してるし、けっこうな肝機能障害もあるため入院してもらうことにした。

治療はどうするか・・・。
まずは細菌性肺炎か非定形肺炎かが重要なわけですが、

日本呼吸器学会の市中肺炎ガイドラインによると、細菌性肺炎か非定形肺炎かの鑑別として
・60歳未満 ◯ 38歳
・基礎疾患なし × 一応ある
・頑固な咳 ◯ かなり頑固
・胸部聴診所見乏しい ◯ マジで乏しい
・痰なしまたは迅速診断で原因菌証明できず △ Partial Treatmentの可能性はあるけど・・・
・WBC<10,000 △ これも抗菌薬投与で低下してきたという可能性も・・・

6項目中4項目以上合致した場合   
この場合の非定型肺炎の感度は77.9%,特異度は93.0%
とされています。

まあ△を2つで◯1つとして数えて良いとすれば(そんなことガイドラインのどこにも書いてませんが)、うーん、まあ非定形肺炎なのかなあ。
前医の抗菌薬がなかったらもう少しハッキリするんだけどなあ・・・。
肝機能障害もあるから、それも非定形肺炎っぽいけど、これは薬剤性かもしれないしなあ。

皮疹と肺炎については、いつぞやの勉強会で青木眞先生が「皮疹を伴う肺炎ではマイコプラズマ、リケッチア、緑膿菌、ウィルス、ループスを考えるのじゃ」とおっしゃっていた。
いや「のじゃ」とはおっしゃってなかったかもしれない。
でもだいたいそのようなことをおっしゃっていた。
となるとマイコプラズマ肺炎のプレゼンとして皮疹が出ていると考えても良さそうだ。
緑膿菌のリスクはそんなになさそうだし、リケッチアは・・・少なくともescharはない。海外渡航もない。肺炎も典型的なプレゼンではない。でもまあ一応鑑別には残しておこうかな。
ウィルス感染症もなくはないかもしれないけど、どっちみち治療法はないので後回し。
ループスは・・・その他の症状が合わないから違うっぽい。

まあ何にせよ、一元的に考えれば本命はマイコプラズマ肺炎だろうか。
だとしたら抗菌薬はどうしようかな・・・。
AZMでアレルギーがあるっていうしジスロマックは使いにくいか・・・。
TFLZで薬疹が出たと考えるとキノロンは遠慮したいところだし・・・。
となるともうテトラサイクリンしかない・・・。
MINOでいいかな・・・。

では二元的に「肺炎+抗菌薬による薬疹」と考えると、この場合はセフェムもキノロンも使いにくい。
ペニシリンも15%くらい交差アレルギーがあるし、どうしようかなー・・・。
まあ尿中抗原は陰性だったので肺炎球菌性肺炎の可能性は少し低くなったので、
とりあえずはマイコプラズマ肺炎としてMINOで様子をみようかな。

というわけで、入院の上MINO 100mg×2で開始することにした。
その前に、ちょっと興味本位で胸部CTを撮ったから病棟に上がってもらうことにした。
しかし胸部CTで驚愕の所見が!!

00000051

consolidationだけかと思いきや、気道に沿った粒状影も。
これ結核じゃないよなあ・・・。
大阪のあの地域に住んでたって言ってたし・・・。
大丈夫かなあ・・・。

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この胸部CTの所見を見て抗酸菌塗抹陰性を3回確認するまで個室隔離しておきますか?
それともマイコプラズマ肺炎で間違いないから隔離はいらない?
どっちにしても結核はありえない?
皆様のご意見をお聞かせください。

(症例は実際の症例を適当に修正しまくった架空の症例です)

次回完結予定!

2010年11月21日 (日)

本当に帰ってきたID CONFERENCE 肺炎と皮疹編①

市立奈良病院のくつなです。

帰ってきたID CONFERENCEと言いつつ、最近あまりカンファレンスせずに僕の与太話ばかりが掲載されている当ブログですが、かつては喧々諤々の熱い議論が飛び交う実にインタラクティブなブログであり、僕も緊張しつつコメントしたりしていました。
残念ながらかつてのID CONFERENCEのログは管理人先生が消去してしまったため僕の心のなかで思い出として生きているわけですが、すっかりどんな感じであったか忘れてしまったので、今回はくつなバージョンのカンファレンス形式でお届けしたいと思います。
皆さん、お気軽にコメントください。

ちなみにくつなバージョンの症例検討はこちらにも掲載されておりますので、
皆様のお役に立てるかは分かりませんがご参考ください。

http://www.theidaten.jp/journal_cont/20100129J-17-1.htm
http://www.theidaten.jp/journal_cont/20100129J-17-2.htm
http://www.theidaten.jp/journal_cont/20100129J-17-3.htm
http://www.theidaten.jp/journal_cont/20100129J-17-4.htm

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2010年秋。
若草山が黄色に輝く美しい季節。
オレは某市中病院でインフルエンザワクチンを打ちまくっていた。
ウチの病院はどういうわけか、話の流れ上、職員も患者も全てのインフルエンザワクチンを「ひとり感染症科」のオレが打つことになっていた。
毎日毎日午後の1時間、ひたすらにワクチンを撃ち続けるオレ。
もはやオレは心を失い、冷徹な自動ワクチン接種マシーンと化していた。

最後のワクチンを打ち終えた頃、内科外来から電話がかかってきた。
「紹介状持って肺炎の方が来ています」
その一言でオレは正気を取り戻した。
ほほう、肺炎ねえ・・・。
否が応にも気持ちが盛り上がっていくオレ。
飛んで火に入る夏の虫とは、この肺炎症例のことだぜ!(使い方間違ってるかもしれません)

■紹介状の内容要約
30代後半の女性。
7日前より発熱と咳が出現
4日前、咳が強くなり鹿の里病院受診。
           TFLZ(オゼックス) 100mg×3/日処方され帰宅。
2日前、熱は下がったが咳がひどいため再診
           CDTR-PI(メイアクト) 100mg×3/日に処方変更。
受診当日 皮疹が出現してきたため鹿の里病院を再診。
     レントゲンを撮ると右肺野に肺炎像あり。
     皮疹は薬疹だか何だかよく分からないとのことで当院感染症科紹介。

・・・。
うん、まあ前医のことを悪く言うのはよそう。
僕よりも20年年上の先生に対して抗菌薬の不適正使用がどうこうという指導ちょっと気が引けるし・・・。
こういうのはフィードバックが大事なので、あとで返事を詳細に送っておこう。
うんうん。
それで全て平和におさまるのなら、それでいいじゃないか。

さて、患者を診ると、確かにまず皮疹が目に入った。
頚部、腹部、両大腿部に、えーと・・・erythematous maculopapularという感じの皮疹ではないだろうかコレは。
よく分からないがたぶんそんな感じだと思う。
皮疹のことは全く詳しくないので、あまり詳しく聞かないでほしい。
掻痒感・疼痛は全くないとのことだった。

(追記:写真も撮ったんですが、いまいちのものしかありません・・・一応掲載しておきます)

Img_0230

とりあえず切迫感はなかったので、問診から先に取ることにした。

既往歴:UC(26歳から、現在は無治療で無症状)
    甲状腺機能亢進症(これも無治療で無症状)
手術歴:なし
輸血歴:なし
アレルギー:AZM(ジスロマックで皮疹・下痢)
ワクチン接種歴:インフルエンザは今季はまだ、肺炎球菌ワクチンも未接種
現在の内服薬:上記の抗菌薬と咳止めのみ
既婚で1子あり、3人家族。子どもも咳をしているが喘息の咳だと思うとのこと。
職業:専業主婦
喫煙:10本×20年
お酒:機会飲酒
動物の暴露:ネコを飼っている。ひっかかれたりしてない。その他の動物暴露なし。
旅行歴:海外旅行なし。温泉も行ってない。旅行に行きたい。
sick contact:子どもが咳しているくらい
結核の暴露:3年前まで大阪のハイリスク地域に居住歴あり

ROS:咽頭痛あり、鼻水なし、咳がひどい(特に夜間)、胸痛なし、関節痛は熱が出ていたときはあったが今はだいぶまし、筋肉痛はまだ強い、下痢・嘔気なし、腹痛なし、排尿時痛なし、腰痛なし

ここまで聞いて、モタモタと身体所見を取った。

中肉中背
BP 120/80mmHg
PR 86bpm
RR 16/min
BT 37.4℃
SpO2 97%(室内気)
頸部リンパ節腫大なし(数日前まで痛かったとのこと)
咽頭発赤なし
胸部聴診上、異常所見なし、声音振盪も打診でも左右差なし
頚部、腹部、両大腿部にerythematous maculopapular(だと思います)を認める


うーん。
印象としては、肺炎というわりには元気そうだなあ。
胸部聴診上も全然異常所見がない・・・。
ホントに肺炎かなあ・・・?という感じ。

まあPartial Treatmentっぽいので、肺炎でも合うのかな。
あと皮疹は・・・ホントに薬疹?
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さて、何を考えて、どのような検査をしますか?

(症例は実際の症例を適当に修正しまくった架空の症例です)

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