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2010年12月30日 (木)

日本人の「質の保証」に対する依存

グラム染色、モラクセラだったんですね。
ぱっとみてブドウ球菌と思っていたので、コメントを書き込まなくて正解でした。

さて、このエントリーや、最近の経験からふと気づいたことがありました。
概して日本人は "quality control" という作業に甘い傾向があるように思います。
要は「質のコントロール」ということですが、要するに例えば普段ルーチンでやっていることでも positive control と negative control を用意して、試薬やその他もろもろの「正常で当たり前と思っている前提条件」がその通り正常に動いているかどうかを確認する作業です。

研究室のようなところでグラム染色をやっていると、時々長い間グラム染色が行われていない時に、試薬がダメになっていることがあります。クツナ先生のケースは染め直してOKでしたが、そういった場合は、例えば何回染めてもグラム陰性桿菌がグラム陽性にみえてしまう(例えばアセトンがダメになっている場合など)、ということが起こりえます。そのような場合に備えて、例えば1週間に1回、グラム陽性球菌と陰性桿菌を染めて、ちゃんと染まるかどうか確認し、試薬がOKであることや手順に問題がないこと、過程にコンタミが起こっていないことを確認します。

昨年アメリカにいましたが、概して日本人はこのquality controlをしない、そしてアメリカ人はちゃんとする、そういう傾向にあるように思います。

この理由の一つに、「アメリカでは本当に試薬その他がダメなことが多い」ということがあるように思います(確かめてませんが、経験的にもそのように思います)。日本人は「まさか培地がダメだったなんて!」みたいな感覚が強いですね。多分これだけではありませんが、この因子は大きいと思います。これは日常生活でも、アメリカでは賞味期限が切れた食品が普通に売られていたり、穴の開いた服が売られていたり、「自分がしっかりしていないと」エライめに会うことがあります。日本では何か問題が起こったときに、まずは自分の作業のどこかに非があったのではないか、と考え、まさかモノが出荷される時点で問題があったとは考えないですよね。

ということで、皆さんも、是非定期的に自分が行っておられる業務に quality control の作業を導入されるといいと思います。新たな感受性パネルをメーカーが持ってきたからといって、ホイホイとそれで検査して、その結果を鵜呑みにするようなことは是非避けて頂きたいと思います。ちゃんと標準菌株や以前の菌株などを pilot study として従来のパネルとMICにどのくらいの差があるか確認し、自施設でのデータ、傾向を把握してから採用してください。

グラム染色もそうです。患者さんのアウトカムに直接つながる重要な検査ですから、「あいつがやってるんだったら俺もやってみよ」というような軽々しい態度で始めるのは禁物ですよ。


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