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2010年12月 5日 (日)

本当に帰ってきた ID CONFERENCE 肺炎と皮疹③

ゲストライター・オブ・ザ・イヤーのくつなです。

遅くなりました。
前回からだいぶ間があいてしまい、すいませんでした。
だって、なんか忙しいんです・・・。
septic shockのヒトの尿が全然出なくて・・・尿を待ちわびて・・・そして奈良の日が暮れる・・・。
実は3人目の子が先日生まれたんですが、まだ会えていません・・・。父親はなくとも子は育つ・・・。

では「肺炎と皮疹」の続きです。
ようやく完結です。

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結局病棟師長さんに相談し、3回塗抹陰性を確認するまで個室隔離で様子をみることにした。
1回目の喀痰チールニルセン染色は陰性であり、PCRも陰性であった。
つーことは、やはりマイコプラズマ肺炎だろう。
というわけで、MINO 100mg×2で治療開始した。

しかし起炎菌の分からない肺炎の治療でMINOを続けるのはなんとなく気持ち悪い。
一刻も早くマイコプラズマ肺炎かどうかが知りたかったので、医大に置いてある迅速キットを使わせてもらうことにした(市立奈良病院にはありません)。
ちょうど上司の当ブログ管理人先生に合う機会があったので、患者の血清を直接手渡し、医大で検査していただいた。
その日の晩、メールが届いた。

Mycoplasma

陽性じゃん。
まあこのキット、感度は低いし発色も微妙なので、陽性に見えるのも単に思い込みなんじゃないかという気もするが・・・。
まあとりあえずマイコプラズマ肺炎ということで治療を続けよう。
いやーよかった。
一応、ペア血清を取っておいてPA法で抗体測定もしておこう。

患者は入院後3日くらいは37℃台の発熱が続いたが、その後は解熱した。
塗抹検査は3回陰性であり、直ちに隔離解除された。
この間、発熱に合わせて皮疹が全身に出現し、解熱すると皮疹も消退していくという症状を何度も繰り返した。

Photo

MINO開始5日で咳は続くもののすっかり元気になり、退院となった。
入院日と退院日のペア血清で測定したPA法による抗体検査では、ばっちり4倍以上の抗体価上昇があり、2回目の抗体価も2560倍ということでマイコプラズマ肺炎と診断した。

本症例は肺炎治療中に皮疹が出現し、薬疹が疑われて当院紹介となった患者であったが、
結果的に皮疹はマイコプラズマ肺炎による皮疹ではないかと考えられた。

というわけで今さらながら、以下、マイコプラズマ肺炎を簡単にまとめてみました。

マイコプラズマ肺炎はM.pneumoniaeによる肺炎であり、市中肺炎の原因として肺炎球菌やインフルエンザ桿菌と並んでメジャーな起炎菌である。
大規模な市中肺炎のstudyでは5〜20%程度がM.pneumoniaeを起炎菌とする肺炎であった。
症状は頭痛、発熱、咽頭痛、筋肉痛、鼻水など感冒様症状からゆっくりと進行することが多い。
身体所見は乏しいのに患者の訴えは強い、という特徴がある。
ほとんどの症例では肺炎まで進展することなく自然軽快する。
症状が進むと咳が強くなってくる(痰は少ない)。
肺炎があっても聴診所見に乏しいことが多いが、後期になるとcrackleを聴取することもある。

マイコプラズマ感染症では皮疹を伴うことがあり、多形性紅斑からSteven Johnson症候群まで様々である。
抗菌薬投与によって、マイコプラズマ感染症患者の皮膚過敏性が亢進しているのかもしれない。
その他、下痢、精神症状など肺外病変を呈することがある。

■非定型肺炎の肺外病変(文献1を改変)
001

すでに当ブログ管理人に指摘されていたが(またしてもおいしいところを・・・)、実はマイコプラズマ肺炎で肝機能障害は稀であるとされる。
したがって本症例での肝機能障害は、こちらは皮疹と違い薬剤性ではないかと思われる。


参考文献
1)B. A. Cunha; The atypical pneumonias: clinical diagnosis and importance. Clin Microbiol Infect 2006; 12 (Suppl. 3): 12–24

2)Mycoplasma pneumoniae infection in adults. UpToDate 18.3

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