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2009年10月30日 (金)

IDSA@フィラデルフィア2日目-午前

アメリカの学会は朝が早く、今日も7時から Meet the Professor のセッションがあります。5時過ぎに起きましたが、電車の時間を間違えて、10分ほど遅れてしまいました。

この Meet the Professor は10を超えるセッションがあっていつも迷うのですが、今日は "Case based "Non-infectious" diseases that mimics infections" のセッションに参加しました。講師は

NIHのRaphaela T. Goldbach-Mansky先生で、もともとはリウマチなどを専門とする膠原病の医師です。

出てきた疾患はほとんどが自己免疫性疾患。

FMF, MAS, NOMID, DIRA, PAPA, TRAPS, HIDS, CRMO/SAPHOなど、なんとなく聞いたことのある疾患から初耳の疾患まで症例を交えて紹介して頂きました。皆さんなんの略語か分かりますか?正解は下を参照。

 
症例はどれもあー確かにこういう患者さんいるねー、と思い当たるようなものばかりです。ただ共通するのは「抗菌薬を含め、様々な薬剤が奏功せず、亜急性・慢性の経過をたどり、多臓器にわたって病変が出現する」ということ。診断や治療には遺伝子検査やIL-1 blockerなど、一般臨床ではまだルーチンには使用できないものばかりでしたが、とても参考になりました。

FMF: Familial Mediterranean Fever
MAS: Macrophage Activation Syndrome
NOMID: Neonatal-Onset Multisystem Inflammatory Disease
DIRA: Deficiency of IL-1 Receptor Antagonist
PAPA: Pyogenic Arthritis, Pyoderma gangrenosum and Acne
TRAPS: Tumor necrosis factor Receptor Associated Periodic Syndrome
HIDS: Hyper-Immunoglobulinemia D and periodic fever Syndrome
CRMO: Chronic Recurrent Multifocal Osteomyelitis
SAPHO: Synovitis, Acne, Pustulosis, Hyperostosis, Ostelitis

は~。一生勉強ですね~。ここのPDFにこれらの疾患の多くが掲載されているようです。

IDSA@フィラデルフィア1日目

10月29日木曜日。今日から正式なプログラムの始まりです。

"What's Hot in ID and HIV"ではじめてJohn G Bartlett先生を拝見しました。自分のイメージは髭の剛健なイメージだったんですが、実際お見かけするとかなりお年を召されていて、声も少し震え気味?でしたが、いざお話を始められると(2009年に発表された感染症領域の論文のサマリー)その知識の幅と深さに圧倒されました。一番びっくりしたのは、引用した全ての論文の著者に電話をして話を聞いているということ。

Bartlett先生に少しでも追いつくように勉強しなければならないのにこれでは毎年離されていくばかりです...
 
"Clinical Controversies in ID"は一つの議題を巡って二人の論者が賛成・反対に別れて10分ずつプレゼンし、その後3分ずつ追加議論、最後に会場でどちらにつくか投票、というスタイルのもの。IDSAでは10年前から始まったセッションだそうです。
 
ここでは人工呼吸器関連肺炎の診断に定量的培養が必要かどうかという議論で「不要派」の議論をされたMichael Niederman先生のお話が印象に残りました。Niederman先生は、VAPの診断には臨床的な指標であるClinical Pulmonary Infection Score (CPIS) が最も重要で、微生物検査はそれを補完するに過ぎず、そのためには定性的な微生物検査で十分だとおっしゃいました。「微生物検査だけ」を追求すると「いかに定量するか」という方向に突っ走ってしまう可能性がありますが、「臨床に役立つ」微生物検査という観点からはその努力は他に向けた方がいいのかもしれません。やはり微生物検査と感染症医の対話が必要だなと思いながらお話を聞いていました。
 
微生物検査の追求といえばもう一つ、High through-put pyrosequencingという技術を利用した研究では「ヒトの手には150を超える微生物が入れ替わり立ち替わり存在している1)」「脳膿瘍の病巣には今までの培養検査では検出されなかった30ちかい微生物が存在し、脳膿瘍症例の25%にMycoplasmaが検出される(!)2)」という論文が紹介されていました。「手の常在菌はブドウ球菌」「腸の常在菌は腸内細菌」といったあまりにもあたり前の知識は、その根底となっている今まであたり前と思っていた「培養検査」の信頼性によっては感染症診療が根底から覆る可能性があるのですね(かといってほとんどの患者さんは今の治療で治癒しているわけですが)。
 
HAARTを始めるタイミングについてのRCTが必要かどうかという議論を展開されたRoy Gulick先生とCalvin Cohen先生はお二人とも新進気鋭といった感じで、その知識はもちろん、プレゼンテーションの質の高さに圧倒されました(どっちかというとCohen先生のプレゼンの方がScientistとしては質が高かった)。あーやはり世界は広いな、こんなヒトがいるんだな、こんなヒト達が世界をリードするんだろうなと感じたヒトトキでございました。

明日は待望の日本人夕食会です。半分近い方はアメリカで感染症フェローをしてらっしゃる方々で、どんな話をお聞きできるか今から楽しみです。

1. The inluence of sex, handedness, and washing on the diversity of hand surface bacteria. Proc Natl Acad Sci U S A 2008;105:17994-9.
2. The expansion of the microbiological spectrum of brain abscesses with use of multiple 16S ribosomal DNA sequencing. Clin Infect Dis 2009;48:1169-1178.

IDSA@フィラデルフィア0日目

10月28日水曜日から、フィラデルフィアで開催されているIDSAに参加しています。28日は正式な開会の前日で、アメリカの感染症専門医更新のための勉強を目的とした Vincent T. Andriole ID Board Review Courseがありましたので、初めて参加してみました。

朝の7時から夕方の5時まで、全12コマみっちりとlectureがつまっています。一番最初はWeill Cornell Medical CollegeのRM Gulick先生による "Antiretroviral Therapy 2009: State of the ART" と題した講義で、HAARTをいつ始めるか、まずどの組み合わせを選ぶか、耐性ウイルスの検査を行うか、どのような副作用があるか、いつ治療薬の変更を行うかなど、最近米国で使用できるようになったENF, MVC, RALなども含めての網羅的なお話でした。もともと外来HIV診療にあまり携わっていなかったのと、最近臨床がご無沙汰になっていましたので、今後の学習のとっかかりにちょうど良かったです。
 
その他には「Travel Medicine」「Transplant ID」「Endocarditis 2009」「Antibiotic Resistance 2009」などなかなか魅力的なレクチャーが並びましたが、特に個人的に面白かったのは「Eye Infections」と「Derm ID」でした。米国でもそうなのかもしれませんが、どちらも普通に感染症医をやってると「苦手分野」になりがちなところだと思うのですが、どちらもレクチャーの先生が良くて、「本を買って勉強してみたいな」と主させてくれる内容でした。
 
昨年はMRSAの治療や耐性菌のお話をさせて頂く機会も多かったので、内容そのものやレクチャーの組み立て方など、今後の自分の「ネタ」としても大変勉強になるコースでした。今日はこれから "What's Hot in ID and HIV" そして "Clinical Controversies in ID" の二つに参加予定です。

なお、学会が開かれている Pennsylvania Convention Center ですが、Market East という SEPTA の駅と接続しており、同駅から雨に濡れずに行くことができます。Market East へは、Bryn Mawr から SEPTAのR5 で一本で行けますから、とても便利です。

2009年10月27日 (火)

微生物検査室と薬剤部

アメリカに来てから、時々微生物検査室に出入りし、また薬剤部のカンファレンスに出席させてもらうことがあります。
以前にも書きましたが、ペンシルバニア大学の微生物検査室は、近くの他の関連病院の検体も検査しており、日中で15名弱が勤務しているでしょうか、それでいて3交代の非常に大所帯です。日本と違って面白いのは、この3交代をみんなでローテートするのではなく、「夜勤だけしか来ない」人なども結構います。従って「当直しなくていい」人もかなりいます。
やってる検査自体は日本とそう変わりません。グラム染色ももちろんやっていて(あたり前か)、「こういう所見のときは医師に連絡する」というのもちゃんと明文化されたシートがあります(血培でグラム陽性球菌が生えたなど)。

さて、日本での取り組みと異なり、こちらでは微生物検査技師は結果を医師に直接報告はしますが、抗菌薬の選択などについて助言することはほとんどありません(施設によって多少異なるとは思いますが)。それは、感染症専門医の仕事なのだそうです。
一方、抗菌薬の使用制限における抗菌薬使用許可は、感染症専門医がするほか、感染症専門薬剤師が行うこともあります。抗MRSA薬のTDMなどはやっていますが、こちらも「医師から要請があったときのみ」で、施行率はおよそ50%くらいとのこと。

当院の構図としては、やはり感染症専門医、微生物検査技師、薬剤師のそれぞれの専門性が確立しており、かつ人的余裕もそれなりにあるのでこのような体制が整っているのでしょう。

翻って日本で私達がやってきたことを考えると、これら3職種はそれぞれ病院の環境によってかなりオーバーラップしていることがあります。ここが非常に「日本的」なところだと感じます。

医師・薬剤師・微生物検査技師の交流は必ず必要です。必要な理由はいくつもありますが、私はその中で第一にあげたいことは、「それぞれの専門性をお互いのニーズを理解した上で発展させること」にあります。

自分たちの世界だけで技術・知識を深めていっても、実際の現場には何の役にも立たなかった、ということがあります。私は薬剤師や微生物検査技師の方と交流する上で、「えっ!そんなこと知ってるのなら教えてくれたらよかったのに!」とか、「えっ!そんなことできるのなら早く言ってよ!」とか何度も思ったことがあります。

壁がありそうで、ない。付かず、離れず。このような曖昧さは時として日本人の悪いところとして指摘されがちですが、私はこういったことを美徳として日本人らしい世界に誇れる感染症診療を展開したいと思っています。

フィラデルフィア小旅行~Hershey Park

「フィラデルフィア小旅行」では、Bryn Mawr から「ちょっと覚悟」して(といっても数時間のドライブですが)お出かけする場所を紹介したいと思います。

まず初回は、あのハーシーチョコレートの本社がある Hershey Park です。ここは Bryn Mawr からだと車で1時間半くらいでしょうか。Baltimoreに行くのと同じくらいだと思います。
車でこの町に入ると、「本当に」町がチョコレートのにおいがします。

町の通りにも "Chocolate Avenue"とか"Cocoa Avenue"とか書いてあって気持ちが高まります(笑)。

Chocolate_ave


Hershey Park は私達は一日で回りましたが、多分本気で回ろうとすると二日かかるんだろうな。ホテルもあります。フードコートでは、フライドポテトはチョコレートソースで召し上がってください。夏は Water Park もありますので水着をお忘れなく。

Hershey Park

2009年10月25日 (日)

子供とお出かけ~その3

動物好きの我が子にとって、アメリカ最古の動物園、Philadelphia Zoo はきっと忘れられない思い出の場所になるでしょう。

Bryn Mawr からは車で20分ほどの距離にあるので、年間会員になりました。妻は平日にも車で子供と出かけていたようです。

近くに Fairmount park や Please touch museum などもありますからそういったところとあわせて遊んでもいいですが、動物園だけでもゆっくり回ったら結構時間がかかると思いますよ。

動物園のマップはこんな感じですが、絵に描いてある象さんはもういません。もともとフィラデルフィア動物園の象のいるところは狭く、もっと大きなスペースが必要だと指摘されていましたが、改築の予算がつかず、象さんは別のところに引越してしまったのです。

週末は混み合いますが、是非お出かけください。年間会員になるのもお得だと思いますよ。平日は比較的空いていますから。

これは2009年5月11日に行ったときの写真。思えばこのときが見納めだったんですね~
Phil_zoo_elephant

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