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2009年10月30日 (金)

IDSA@フィラデルフィア1日目

10月29日木曜日。今日から正式なプログラムの始まりです。

"What's Hot in ID and HIV"ではじめてJohn G Bartlett先生を拝見しました。自分のイメージは髭の剛健なイメージだったんですが、実際お見かけするとかなりお年を召されていて、声も少し震え気味?でしたが、いざお話を始められると(2009年に発表された感染症領域の論文のサマリー)その知識の幅と深さに圧倒されました。一番びっくりしたのは、引用した全ての論文の著者に電話をして話を聞いているということ。

Bartlett先生に少しでも追いつくように勉強しなければならないのにこれでは毎年離されていくばかりです...
 
"Clinical Controversies in ID"は一つの議題を巡って二人の論者が賛成・反対に別れて10分ずつプレゼンし、その後3分ずつ追加議論、最後に会場でどちらにつくか投票、というスタイルのもの。IDSAでは10年前から始まったセッションだそうです。
 
ここでは人工呼吸器関連肺炎の診断に定量的培養が必要かどうかという議論で「不要派」の議論をされたMichael Niederman先生のお話が印象に残りました。Niederman先生は、VAPの診断には臨床的な指標であるClinical Pulmonary Infection Score (CPIS) が最も重要で、微生物検査はそれを補完するに過ぎず、そのためには定性的な微生物検査で十分だとおっしゃいました。「微生物検査だけ」を追求すると「いかに定量するか」という方向に突っ走ってしまう可能性がありますが、「臨床に役立つ」微生物検査という観点からはその努力は他に向けた方がいいのかもしれません。やはり微生物検査と感染症医の対話が必要だなと思いながらお話を聞いていました。
 
微生物検査の追求といえばもう一つ、High through-put pyrosequencingという技術を利用した研究では「ヒトの手には150を超える微生物が入れ替わり立ち替わり存在している1)」「脳膿瘍の病巣には今までの培養検査では検出されなかった30ちかい微生物が存在し、脳膿瘍症例の25%にMycoplasmaが検出される(!)2)」という論文が紹介されていました。「手の常在菌はブドウ球菌」「腸の常在菌は腸内細菌」といったあまりにもあたり前の知識は、その根底となっている今まであたり前と思っていた「培養検査」の信頼性によっては感染症診療が根底から覆る可能性があるのですね(かといってほとんどの患者さんは今の治療で治癒しているわけですが)。
 
HAARTを始めるタイミングについてのRCTが必要かどうかという議論を展開されたRoy Gulick先生とCalvin Cohen先生はお二人とも新進気鋭といった感じで、その知識はもちろん、プレゼンテーションの質の高さに圧倒されました(どっちかというとCohen先生のプレゼンの方がScientistとしては質が高かった)。あーやはり世界は広いな、こんなヒトがいるんだな、こんなヒト達が世界をリードするんだろうなと感じたヒトトキでございました。

明日は待望の日本人夕食会です。半分近い方はアメリカで感染症フェローをしてらっしゃる方々で、どんな話をお聞きできるか今から楽しみです。

1. The inluence of sex, handedness, and washing on the diversity of hand surface bacteria. Proc Natl Acad Sci U S A 2008;105:17994-9.
2. The expansion of the microbiological spectrum of brain abscesses with use of multiple 16S ribosomal DNA sequencing. Clin Infect Dis 2009;48:1169-1178.

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