奈良県立医科大学感染症センターでは平成24年度、当科で働いていただける医師を募集しております。
詳しくは当科ホームページをご覧ください。
また当科のブログも開設しております。こちらもご愛顧くださいますようお願いします。
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国際医療研究センターのクツナです。
この度当ブログ管理人である笠原、天理よろづ相談所病院総合内科の佐田竜一先生、そして丁稚の忽那の3人を中心としたSHIKATENチームで総合診療専門誌JIMの「みるトレ」感染症部門の連載をさせていただくことになりました。
最新刊の5月号には笠原の出題した問題が掲載されております。

今後は定期的に我々SHIKATENチームの感染症クイズがJIMに掲載されますので、どうぞよろしくお願いいたします。
というわけで少しでもみるトレに興味を持っていただくために私の方から例題を出させていただきます。
みるトレは基本的な問題を中心に出題されていますが、今回は感染症オタクの皆様に喜ばれるようなID CONFERENCEならではの、みるトレには決して掲載できない激マニアックな問題を出題させていただきます。
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■Case 00
(架空の症例)
70代女性。
重症熱傷(Prognostic Burn Index=121)のため救命センターに長期入院中。
経過中にC. glabrataによるカテーテル関連感染症を併発しMCFGで治療中であった。
CVカテーテルを抜去しMCFGを開始してからは解熱していたが、抜去後7日目より再び38℃台の発熱を認めたため血液培養を採取した後に再びCVカテーテルを交換したところ解熱した。
採取してから7日後に血液培養が陽性となり、さらにその2日後サブロー培地にて写真のようなコロニー形成がみられた。
血液培養のグラム染色およびサブロー培地でのコロニーの写真を以下に示す。
Q. 感染のフォーカスおよび原因微生物は何か?
MCFG投与中に起こった酵母様真菌によるブレイクスルー・・・。
先に言っておきますが、C. parapsilosisではありません!!
当ブログ管理人も正解を知らないので、ふるってご回答ください。
正解は1週間後に。
国際医療研究センターのクツナです。
本日は感染症関連の書籍のご紹介です。
本書は感染症診療に関連する80の検査項目の検査特性についてこだわりまくった激熱の1冊です。
トキソプラズマ抗体やブルセラ凝集反応といった感染症好きのためのマニアックな項目だけでなく、白血球、CRP、尿培養など医師なら誰もがオーダーする検査についても感度・特異度・尤度比や困ったときの次の一手が詳細に述べられています。
まさに医師必携の一冊であります。
本ブログ管理人は血液培養の項目で、そして実は不肖クツナも喀痰グラム染色と喀痰チールニールセン染色の項目について書かせていただいております。
このような錚々たる執筆陣の中で書かせていただき本当に光栄であります。
母ちゃん・・・オレ、東京で頑張ってるよ・・・。
ご依頼をいただいてからというもの、ご編集された亀田総合病院総合診療・感染症科部長,臨床検査科部長 細川直登先生のいらっしゃる鴨川市には決して足を向けて眠れない夜(眠れナイト)を過ごしております。
この数日貪るように本書を読みながら電車通勤しているため常に携帯していたのですが、某勉強会で細川先生にお会いする機会があり、ここぞとばかりに本書にサインをしていただきました。
細川先生をご存知の方は、どなたもその暖かすぎるお人柄をご存知のことと思いますが、突然のお願いにもかかわらずご快諾いただきサインしていただきました。
細川先生のサインゲットー!
クツナはリリー・フランキーのサイン入りの『最強伝説黒沢』を持っていますが、それを超える家宝の誕生であります!
おや・・・日付が・・・20012年!?
名著は18000年の時を超える・・・細川先生、そういうことですね。わかります。
というわけで、『感度と特異度からひもとく感染症診療のDecision Making』、本当に名著ですのでぜひご一読ください。
都会の絵の具に染まりつつある忽那です。
Austrian Syndromeという珍しい症例を経験したので調べてみました。
・1957年にRobert Austrianによって初めて報告された、肺炎球菌による肺炎・髄膜炎・感染性心内膜炎の3つを合併した症候群である(Austrian R. Pneumococcal endocarditis, meningitis and rupture of the aortic valve. Arch Intern Med 1957; 99: 539–44.)。
・肺炎球菌性感染性心内膜炎は3次医療機関では10〜20年に1例ほど見られる(Powderly WG, Stanley Jr SL, Medoff G. Pneumococcal endocar- ditis: Report of a series and review of the literature. Rev Infect Dis. 1986;8:786-791.)。デンマークでは10年間で14例が報告されている(Lindberg J, Prag J, Schonheyder HC. Pneumococcal endocarditis is not just a disease of the past: An analysis of 16 cases diagnosed in Denmark 1986-1997. Scand J Infect Dis. 1998;30:469-472.)。アルコール依存症がリスクファクターとして知られており、急性に進行する。
・48例のAustrian Syndromeのレビューでは、中年男性、アルコール過剰摂取、免疫抑制患者がリスクファクターとして挙げられている(Gonzalez–Juanatey C, Testa A, Mayo, et al. Austrian syndrome: report of two new cases and literature review. Int J Cardiol 2006; 108: 273–5.)。
・48例のうち詳細が記載されていた症例は16例で、これらの感染性心内膜炎は全て自然弁であり、75%は大動脈弁に疣贅があった。
・この16例のうち、基礎疾患として7例がアルコール依存症、1例がHIV、1例が肝硬変があった。
・16例のうち9例は心不全を合併しており、10例は弁置換術が施行された。
・Austrian Syndromeの死亡率は20%であり、これはこれまでに報告されている肺炎球菌性感染性心内膜炎の死亡率と同等であった。
・弁置換術が行われなかった症例の死亡率が60%であったのに対し、早期に弁置換術を行った症例の死亡率は32%であったという報告がある(Velazquez C, Araji O, Barquero M. Austrian syndrome: a clinical rarity. Int J Cardio 2008; 127: e36–8.)。
・眼病変を合併することもある(Milazzo L, Marchetti G, Negri C. A case of Austrian’s syndrome with ocular involvement. Infection 1999; 27: 46–7)。
名前からしてオーストリア人に多い症候群なのかと勝手に思っていましたが、ヒトの名前なのですね。オーストリアの方、すいませんでした。
個人的には、肺炎と髄膜炎があった時点でそれ以上追求せずに早期閉鎖してしまうのがピットフォールかと思いました。
毎日しっかり身体所見を取ることの重要性を認識した一例です。
忽那です。
5月1日から私の所属先の名称が「国際感染症センター」に変更になりました。
これからは国立国際医療研究センター国際感染症センターの忽那です。
やたらと「国際」と「センター」が出てきますが、ご周知のほどよろしくお願いいたします。
さて、先月長崎で行われた日本感染症学会総会に私も演題発表を行ってきました。
去年は回帰熱を発表して調子こいていたのですが、今年は市立奈良病院での2年間の総括というテーマで発表させていただきました。
感染症科としてのアウトカムをどのような形で出すのかというのは難しい問題で、IDコンサルト数、MRSA菌血症患者数とその予後などいろいろなものがあると思いますが、私が発表したセクションが「院内感染対策」であったため、それらしい内容にしぼって発表させていただきました。
■抗菌薬使用届出制
抗菌薬使用届出制に関してはいろいろな意見があるかと思います。
許可制の方が良いとか、どちらも不要であるとか。
市立奈良病院は私が赴任する前からカルバペネム系薬と抗MRSA薬に関しては届出制が敷かれていたのですが、これが届出率50%前後と全く機能していなかったため、届出制の是非について吟味することもできない状態でした。
そこでまずは届出制自体をきちんと機能させた上で許可制が良いのか、届出制も許可制もいらないのか議論しようということになり、まずは届出率を向上させる取り組みから始めました。
具体的な方法については以前このID CONFERENCEでも書かせていただいたアラート機能などを活用しました。
あとは草の根運動です。
2年間でこのように届出率は上がり、ようやくまともに機能するようになったことで、今後は届出制の是非について吟味できるようになったのではないかと思います。
この辺は誰かが口酸っぱく言えば案外簡単に良くなるんですよね。
この次にどのようにantimicrobial stewardshipを進めていくかについては、後任の先生にお任せしたいと思います。
■血液培養
その病院の感染症診療の適正さをあらわす指標の一つに血液培養セット数、複数セット率があるかと思います。
市立奈良病院は元々総合診療科の先生方がいらっしゃったので、血液培養はある程度採取されていましたが、まだまだ採取数が少なく、1セット採取も多くみられました。
感染症コンサルトをいただいた際に「血液培養2セット採取」を何度もお願いしたり、年に2回だった院内感染対策講習会を4回に増やしてその度に「血液培養2セット、血液培養2セット」と般若心経のように繰り返し唱えていました。
また、市立奈良病院は看護師さんが血液培養を取ってくださるので、看護師さんを対象に血液培養の勉強会などを開いたりもしました。
この2年間で段々と血液培養が市立奈良病院に根付いてきた感があります。
そんなこんなで血液培養の複数セット率は32.3%から84.8%まで上昇しました。
某有名研修病院にはまだまだ遠く及ばない数字ではありますが、「血液培養2セット」はかなり定着したように思います。
■カルバペネム系薬使用量
カルバペネム系薬の使用量は、僕自身はそこまで「カルバペネム系薬、取り締まるべし!」と目の敵にしていたわけではないのですが、抗菌薬アラートなどを使って「カルバペネム系薬は使ってもいいけど、De-escalationするために細菌検査を出しましょう」ということを事ある毎に口を酸っぱく言ってきました。
おそらくカルバペネム系薬を使用した症例自体はそこまで減っていないと思いますが、使用期間がかなり減ったのではないかと思います。
その他、カルバペネム系薬の採用薬を4種類から2種類に減らしてカルバペネム内ローテーションを減らしたり、細々とした努力も行って参りました。
あとは届出率の向上もいくぶん使用量の減少に貢献しているのかもしれません。
カルバペネム系薬の使用量減少に伴い、緑膿菌のカルバペネム系薬に対する感受性も改善しました。
私が赴任する前は感受性が50%を切るというポンコツぶりでしたが、ようやく70%近くにまで上昇してきています。
というわけで、感染症医としてある程度病院には貢献できたのではないかと自負しています。
もちろんこれは私一人の業績ではなく、頼り甲斐のあるICNさんやICTの皆さんのおかげではありますが。
このように感染症に関する病院への貢献という満足感を得ていた一方で、自分の研修内容として現在の職務は果たして十分であるかという疑問が次第に湧いて来ました。
大きな声では言えないのですが、自分が市立奈良病院に赴任したときの私の感染症の経験年数はたった1年半しかなく、まだまだ感染症を勉強し足りない状態で市立奈良病院の感染症科を立ち上げることになったわけです。
当然ながら指導医もおらず、おまけに微生物検査室もないという環境で感染症の研修している自分に不安を覚えるようになりました。
自分と同じくらいの学年の先生方はきっと微生物にまみれて興味深い症例について指導医と熱いディスカッションをしているのだろうなあ・・・と。
そんな焦りを感じつつ、市立奈良病院での感染症科の立ち上げがある程度立ち上げが軌道に乗ったこともあり、この3月で一旦区切りとさせていただきました。
現在は改めて感染症の研鑽を積むために国立国際医療研究センターで研修させていただいております。
感染症科の立ち上げという貴重な経験をさせていただいたことは、今後私にとって大きな財産となることと思いますが、この2年は初心に帰って感染症をしっかりと学びたいと思います。
引き続きこのID CONFERENCEでも感染症に関する「非学術的かつ為になる」内容を皆様にお届けできればと思っております。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
無事,終了しました.
水曜日の朝イチにも関わらず,数多くの方々(+顔見知りの方々)に参加していただき,質疑応答では思わずIDATENカンファかと思うような方々からのコメントがあいつぎ,とても楽しかったとともに,「臨床感染症の履修,教育」から「研究」へと私と同世代の方々が少しシフトしつつあることを実感しました.
若手を研究にいざなう,というよりは,私と同世代の方々が,これからいかに工夫をして研究を進めていくか,という内容だったかもしれませんね.
このシンポジウムの企画自体は実は私が学会に提案したもので(学会員,評議員には学会開催前に「希望したい企画があったら教えてね」という連絡が事前に来てると思います),原田先生や丸山先生,松元先生といった発表者も私がお願いしたものです.少し話がそれますが,「学会」に少し抵抗を感じてらっしゃる方がいらっしゃったら,是非「自分が当事者」になってみてください.学会に欠けているものがある,学会に不満な点がある,というのなら是非それを学会に提案してみてください.沢山の人が集まる学会,せっかく集まるのならより良い集会にしたいじゃないですか.その気になれば,結構身近な工夫や提案で物事は変わるものです.
さて,シンポジウムですが,丸山先生には僻地でもできる臨床研究,原田先生には臨床感染症医の耐性菌研究,松元先生には薬剤師が行う臨床研究,について発表していただきました.私はそのイントロダクションということで,「米国における感染症研究」について私の限られた経験からお話しさせていただきました.
■ 臨床感染症のトレーニングと感染症研究
「臨床感染症」の発展様式は,皆さんご存じのように日本と米国では大きく異なっていて,日本の感染症学は「臓器別」に発展してきた経緯があります.したがって「肺炎」や「尿路感染症」という臓器別の研究は進んでいる反面,「敗血症」「心内膜炎」などの血流感染症や「血液培養から◎×菌が分離された症例」というふうに複数の臓器に病変がまたがって存在するような患者に関する研究は日本ではまだまだ数少ないのが現状です.
従って,臓器に縛られないいわゆる「(米国式)臨床感染症」を切り口にした感染症研究は,日本ではまだまだこれからなのです.こういった研究をこれから進めていくには,そもそもまずちゃんとした臨床感染症のトレーニングを受けていなければいけません.従って私の一番目のメッセージは,「臨床感染症医として感染症研究(基礎であれ臨床であれ)をしたいのであれば,まず「臨床感染症のトレーニングをしっかりうけること」ということでした.
これは同時に「臨床感染症を学びたい」という若者達のアツい気持ちと「研究をする」ということは,まったく同方向,同一線上に存在している,ということを意味しています.つまり「研究をするために臨床をないがしろにしたり」,「臨床をするために研究をないがしろにしたり」する必要は全くなく,むしろどっちもちゃんとしなければだめだ,というメッセージなのです.
■ あなたの専門は何ですか?
松元先生は「薬剤師として働いていて,日本では絶対聞かれることはなかったが,米国では沢山の人に聞かれた」こととして「あなたの専門は何ですか?」という質問を挙げておられました.シンポジウムが始まる前に原田先生も「長くやっていると専門を持つ必要性が出てくる」ということをおっしゃっていましたが,そういう点でも「研究」の必要性がみえてくると思います.もちろん「教育」も専門性の一つですから,「感染症診療+感染症教育」という研究分野でもいいと思うのですが,いずれにせよ,専門というからには何らかのアウトプットがないと,なかなか第三者には理解してもらいにくいですね.
■ 各分野の専門家をつなぐ
フロアから,例えば細菌学者や微生物検査技師,薬理学者に,彼らが持っているデータが「臨床現場でどのように役立てられるべきか」をどう対話すればよいか(臨床医から伝えればよいか),という質問がありました.
これについては,私はその重要性は理解しつつも,「その対話がちゃんとできる臨床医は希有である」とお返事しました.このブログでもありましたが,例えば喀痰のインフルエンザ桿菌がCTRX耐性と返ってきたときに,ちゃんと検査室にその妥当性を質問し,場合によっては検査方法まで踏み込んで質問できる臨床医がどれくらいいるでしょうか?日本の感染症を専門とする臨床医の中で,それぞれの病院でICNや臨床微生物検査技師に,同じ目線で議論できる臨床医がどれくらいいるでしょうか?多くの方々は「それはもう検査室にまかせるよ」「それは看護師の仕事でしょ」と自ら関わるのを避けているのではないでしょうか.
ですから,ここでもやはり「臨床感染症医の育成」が喫緊の課題だと思うわけです.
■ role model/mentor を持つ
全ての発表者に共通していたのが role model/mentor を持つ,ということでした.日本にも優れたrole modelが沢山いらっしゃいますが,米国にはもっと沢山います.私は別に米国に留学することをお勧めしているわけではありませんが,「臨床感染症医+α(疫学や微生物検査など)」の研究者たちがダイナミックにコラボレーションしているところを見れる,という意味では留学は手軽な方法の一つだと思います.
■ これからの日本での感染症研究
フロアから生物統計や疫学を学べるコースは日本にはないのか,という質問があり,誰も満足にお答えすることはできませんでした(他のフロアの先生から京都大学のコースのご紹介がありました).もしかすると循環器や腎臓など,他分野ではそういうコースがあるのかもしれません.もっともっと私たちは視野を広く持ち,異なる施設での感染症医同士の交流はもちろん,感染症分野でなくても,研究手法を軸とした交流など,様々な軸で有機的につながっていく必要がある,と感じました.例えば感染症研究関係で role model がないのなら,感染症学会に,循環器や腫瘍など,他分野で臨床研究を成功させている人たちをお呼びしてシンポジウムを開催する,なんてことも面白いと思います.
10年ほど前に感じた,IDATENを中心として「臨床感染症という学問があるんだ,面白いなぁ」という新鮮な気持ちは,当時に同じ思いをもったであろう仲間と共に「感染症研究をやるぞ」という新たな新鮮な気持ちにシフトし,これから数年で大きく発展するのではないか(だってすでに交流はあるんですから),そう感じたひとときでした.
取り急ぎ,乱文ですがご報告します(また加筆訂正するかもしれません)
国立国際医療研究センター感染症内科/国際疾病センターの忽那です。
忽那は現在感染症内科と国際疾病センター(DCC)に所属しているのですが、DCCと言えば何と言ってもマラリアであります。
DCCでは年間20例前後のマラリア症例を診療しているということで、マラリア診療はDCCと切っても切り離せないものです。
しかし、忽那はマラリアについては「マラリア治療薬のアルテミシニンの植物名はクソニンジンである」という、かなりどうでもいいことしか知らないという体たらくであり、マラリアが来たらどうしようと内心ビビっていたのですが、ちょうどそこにマラリアトレーニングコースのお話をいただき、渡りに船ということで先日参加してまいりました。
マラリアのトレーニングコースは、国際医療研究センター研究所の熱帯医学・マラリア研究部 部長の狩野繁之先生に丸一日マラリアについて叩きこんでいただけるという夢のようなコースです。
狩野先生といえば、日本熱帯医学会の前会長であり、WHOのInternational travel and healthのマラリアの項を監修しているという、日本の、いや世界の、むしろ宇宙のマラリア第一人者であります。
日本広しと言えどもそのようなマラリアの権威にみっちりと丸一日教えていただけるのは・・・そう、国立国際医療研究センターだけ!(さりげなく宣伝)

実を言うと元々は厚労省医務官の先生のためのコースであり、我々がそこにお邪魔させていただいたというわけです。
受講者は医務官の先生、忽那、そして私の同僚の谷崎先生の3人であり、こんな感じでまったりとした感じでレクチャーが始まりました。
狩野先生のマラリアレクチャーはまさに黄金体験でありまして、脾摘により感染44年後に発症した四日熱マラリアの症例、ヒトの進化に合わせた三日熱・四日熱・卵形マラリアの進化、日本で初めてアルテミシニンを使用したマラリア症例など、非常に興味深いお話をたくさん聞くことができました。
そして午後からは待ちに待った鏡検実習です。
まずは、寄生率の計算についての実習です。
このようにキレイにリング状に見えるのが熱帯熱マラリアです。
網目が切れちゃってますが、この網目の中の赤血球のうち、熱帯熱マラリアに感染している赤血球の比率を計算します。
寄生率30%という、かなりちゃばい検体でした。
次は、実際に自分の血液をギムザ染色してみようのコーナーです。
狩野先生自ら、谷崎先生の採血を行います。
当ブログ管理人からのツッコミが入りそうなので弁明しておきますが、このあとちゃんと手袋をつけて採血していますよ。
この血液をプレパラにシュシュッと引いてギムザ染色を行います。
ギムザ染色を15分ほど放置するので、待っている間にマラリア迅速検査キットを使ってみようということに。
先ほど採血した谷崎先生の血液を使って迅速検査を行いました。
まあ当然陰性に出るよな・・・と思ってたら・・・
陽性キターーーーーーー!
えっ、まさかこれって・・・熱帯熱マラリア?
確かBinaxNOW Malariaは特異度99%を誇る検査キットだったはず・・・ということは谷崎先生は熱帯熱マラリアでほぼ間違いないのか?
「いやいやいやいや、僕海外渡航歴ないですし。症状も全然ないし。そもそも検査前確率が低い状況でこのような検査を行なっても陽性的中率は極めて低いわけで・・・」
急に多弁になる谷崎先生。
まさかコレは脳マラリアの症状なのだろうか・・・。
とすると治療を急がなければヤバい・・・。
私自身、谷崎先生が熱帯熱マラリアであるはずはないと思ってはいたものの、ちょっと不安になってきたのも事実。
もしこれでギムザ染色でもマラリア原虫が見えたりしたら・・・。
ちょうどギムザ染色が完了したので、恐る恐る鏡検してみると・・・。
リングフォームキターーーーーーー!
こ、これはやはり熱帯熱マラリア・・・?
「これは・・・アーチファクト・・・アーチファクトに違いない。これは単にゴミが見えてるだけなんだ・・・むしろ人類全てがゴミなんだ・・・おまえら全員クソニンジンなんだ・・・」
ガタガタと手が振るえながら発言がおかしくなってきた谷崎先生。
やはり脳マラリアの状態ということで間違いなさそうです。
「うわああああああああああ!助けてくれええええええ!」
谷崎先生が正気を失いかけたそのとき・・・
狩野先生「フッフッフ・・・騙されたな・・・」
えっ・・・?
呆然とする一同。
狩野先生「さっき皆が一心不乱に寄生率をカウントしてるときに谷崎先生の血液に培養したマラリア原虫をこっそり混ぜておいたのだ・・・」
な、なにいいいいいいいいいいいい!
やられた・・・さすがマラリアの権威、マラリアジョークまで超一流です。
というわけで、正気を取り戻した谷崎先生と共に、他のマラリアのスライドも見せていただきました。
■三日熱マラリア原虫
■卵形マラリア原虫
最後にちょっとためになることを書いておきますが、狩野先生によりますとマラリアの鏡検で最も大事なのは「感染赤血球が大きくなっているか否か」だそうです。
なぜなら大きくなっている場合(三日熱・卵形)は、ヒプノゾイトを作るのでプリマキンで治療が必要になる一方、大きくなっていない場合(熱帯熱・四日熱)はプリマキンは不要であり通常の治療でOK、というように治療の選択が変わってくるからだそうです。
いやー、勉強になりました。
市立奈良病院の忽那改め、国立国際医療研究センター 感染症内科/国際疾病センターの忽那です。
4月から上京し、大曲貴夫先生をはじめとした先生方の元、新宿で感染症と渡航医学について勉強しております。
都会に住んだことない私としては、人の多さ、そびえ立つビル群に圧倒されています。
ちなみにコレが病院からの風景です・・・若草山が見えない・・・。
とりあえず改札口を颯爽と通過するのが都会人のやり方なのだと分かったので、さっそくSuicaを買ってかっこ良く改札口を通過するテクニックを習得しました。
今後も都会人として精進していきたいと思います。
さて、私の所属は感染症内科/DCCですが、エイズ治療・研究開発センターとも交流があり、先日染め友の(というと大変恐れ多いですが)T田先生に「検体をゲットしたので染めようぜ!」とお電話をいただきACCにお邪魔してきました。
検体はニューモシスチス肺炎疑いの症例から得られたBAL液です。
これを遠心して塗抹し、DIFF-QUIK染色を行います。
これを顕微鏡で覗いてみると・・・
うおおおおおおお、出よったあああああああ!
ニューモシスチス原虫がウジャウジャいてはります。
診断はやはりPCP!
よっしゃああああああああ!
いやー、良い染色だったなあ・・・と私が満足感に浸っていると、隣でT田先生が「いやいや・・・これくらいで満足されては困ります・・・」と笑ってらっしゃるではないですか。
ま、まさか・・・これをグラム染色で?
やっていいんすか?
というわけで、同じ検体をグラム染色で染め上げてみました。
すると・・・そこには・・・。
おりよったあああああああああああ!
ニューモシスチス原虫はグラム染色でも認識可能!
これは相当衝撃的な事実ではないでしょうか!
PCPに対するBAL液のグラム染色の感度・特異度に関しては、文献を探してみましたが見つけられませんでした(当り前か)。
たぶん「グラム染色なんて使えねえ」という歴史的な経緯で現在は誰もしていないのでしょう。
ですので、これは飽くまでも「染めてみました」というものであって、PCPの診断にBAL液のグラム染色することを推奨しているわけではありませんのでご注意ください(誰もマネしないと思いますが)。
ID CONFERENCEをご覧の皆さま。
阪南市民病院の北です。
をさせていただきます。
JNCは、“尋常じゃないことをしたい”という思いから生まれた企画です。
「第4回 ななかん」も大盛況のうちに終わり、
最後は感動のメッセージ集。
「あのムービーどうやって作ったの?」と、いろんな方に聞かれますが、
答えましょう!
「あれは、ただのパワーポイントで作ったスライドである」と!!!
みなさん、次回の「なんてことのない症例検討会」通称「ななかん」は6月の下旬開催予定です。
奈良にお越しの際は是非ご参加を!!!
ところで、
タイトルを無視し続けてここまで話を展開してきましたが、
先日、
感染症に師匠(メンター)を持つ僕としては、見逃せないで来事が起こってしまいました。
CZOP(セフォゾプラン)
ファーストシン®
第4世代セフェム
こいつが、使えなくなる状況は正直厳しい。
というか、
ツライ!!!
僕がとある科をローテートしていた時の事です。
ある日の夕方、「今日も疲れたー!!」と背伸びをしていると、病棟の看護師さんから連絡が。
「昼ぐらいに患者が発熱しました。
38.5℃。
なので、〇〇先生が胸水を抜かはって、
一旦37.4℃まで下がったんですが、
夕方からまた熱が38.6℃。
ボルタレン使っていいですか?」
「あ、はい、いいですよ・・・」
とは、言いつつもヤバいヤバい。って感じでしたけどね・・・
と、まぁ顔を見に行くと。。。
「あぁ、ちょっとしんどいです〜」
と、意外と元気そう。
(一安心)
まぁ、熱でてるしなぁ〜。
問診でも、特に変化は無いとの事。
身体所見をHead to Toeで取ってみるも、特に何の所見もなし。
まぁ、様子みれそうかなぁ。。。
一応、〇〇先生に報告。
「おぉ、そうか、まだ熱あるか・・・
ファーストシン®いっといて。て。て。て。て。」
頭の中でこだまする「ファーストシン®」
4th Cefem
いわば、抗菌薬業界のメラゾーマ・クラス。
「せ、先生。マジでいくんですか!?」
「ん?あかんか?それやったらもっと豪勢にいくか?」
(ゴウセイ???)
抗菌薬を豪勢につかってどうする!!医療費上げたいんか!?あんたは国民の敵かっ!?
とは言えず・・・
「あ、はぁ。。。」
と言って、その日はすぐに採れた尿をGram染色して、
尿路感染がなさそうな事を確認して、
帰りました。
(この患者さんは、前の週にSBT/ABPC→SBT/CPZにて発熱に対して治療された経緯あり
。胸水はOpe侵襲のために以前からたまっている物で、呼吸苦はなし。)
次の日
「熱出るな!!」と祈って病棟に向かった僕は、患者が平熱+元気である事を確認し、胸を撫で下ろしました。
(良かった〜。熱治まってたらファーストシン®いってなくても文句は無かろう。)
そう、思っていたんだけどな。。。って話ですよ。
なのに。
夕方に病棟に行くと。。。
「先生、患者さんがまた熱出てます。」
という、看護師さんからの嫌な報告。
(えぇ、出るでしょう。知ってましたよ。泣)
〇〇先生からは
「ファーストシン®いっといたで」との魔の一言が。。。
「っていうか、お前、昨日ファーストシンいってないやん!!」
しまったorz
ファーストシン®を阻止できなかった。。。
メラゾーマがぁ。。。
メラゾーマに耐性を持ってしまった菌達が今度暴れだしたら・・・
次は何を使うんですか、先生!?
とは言えず。。。
「すみません」の一言。
ちなみに、先生のカルテを見ると
「発熱。 ファーストシン投与開始。」
(まさかのノーアセスメント)
ノーアセスメント・メラゾーマを打ちっぱなし、というのも悔しいので、
インフルエンザも、ちょろっと出た痰のGram染色も、便培養も、CDトキシンも見てやりましたよ。
なんにも出なかったけどな。。。
血液検査もWBC1万、CRPが2.0ぐらい。
本人の重篤感はなし。
というか、個人的にはウイルス性の風邪か咽頭炎だと思っています。
だって、ちょっと喉が赤いんだもの。
僕のふがいなさのせいで、
ファーストシン=CZOP
は、次に熱発した場合、この患者には使えなくなってしまいました。
〇〇先生は、その後も「まだ、やっぱり熱出てるなぁ。」とぽつりとおっしゃっておりました。
まぁ、その前に診察してください。と、言いたいですが。。。
これ以上のEscalationはやめてもらいたいものです。
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